やめてください江口さん。 2

＊77 まさか ページ30

*江口side

・


斉藤「…あっ！そういえば昨日、明日は宏太朗と現場一緒だって言ってました」


江口「宏太朗ね、おっけ」



連絡先の中から宏太朗を見つけて、すぐに電話をかけると、ツーコールくらいで「もしもしぃー？」といつもの伸びた声が返ってきた。



江口「宏太朗？今そこにAいる？」


西山「ちょっとー、第一声が電話かけた本人じゃなくて彼女のことってどうなんですか〜パイセン」


江口「今そーいうのいいから、早く」


西山「えぇ……機嫌悪ぅ……。Aちゃんならさっきレコーディング終わって出ていきましたけど」


江口「どこに行ったかわかる？」


西山「えーっと……あ、駅近くのショッピングモール。たしか、知り合いと約束があるって言ってましたよー」



駅近くのショッピングモール………



この前、Aとシンヤクンがいたお店が思い出される。




やばい、どんどん不安になってきた。





江口「わかった、ありがと宏太朗」


西山「Aちゃんどうかしたんですか？」


江口「うん、あとで話す。じゃ」


西山「えっ、ちょ、江口さ…」



ブチッと通話を切って、画面を見て時間を確認する。



16時10分……



たしかこのあとは夜まで何もないはず。





江口「壮馬、俺の荷物ここに置いたままでいいから！」


斉藤「えっ？ちょっと、拓也さん！？」



壮馬の声を無視して、携帯を片手に部屋を飛び出す。





駅近くで助かった。



そんなに距離はない。






江口「ッ……A…！」






どうか、




俺の勘違いであってほしい。




*

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