やめてください江口さん。

＊42 決めた ページ43

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梅原「ちょっとは落ち着いた？」


『うん、ありがとう』



休憩スペースで梅ちゃんが買ってくれたお水を1口飲んで、ズッと鼻をすする。



梅ちゃんも私の隣に座ってもう一本のペットボトルを開ける。





『…………恋愛って難しいんだね』



梅原「……………まぁね」




片思いがこんなに辛いなんて知らなかった。



こんな思いするなら、江口さんへの気持ちに気づきたくなかった。






『この気持ちは…ずっと隠していこうと思う』




隠して隠して、




いつか消えてくれれば…………






梅原「………じゃあ俺はどうなんの」


『……なんで梅ちゃんが出てくるの』



梅原「Aがずっと江口さんへの気持ちを隠していくなら、じゃあその間俺の気持ちは？Aがそんなんならいつまでも諦めつかないよ」



『…………梅ちゃん？』




何言ってるのか全然分からないんだけど……




理解できない私に、はぁ…とため息を吐いたあと、真っ直ぐ私を見る梅ちゃんの瞳に捕まる。




梅原「俺、Aのこと好き」


『…えっ…』


梅原「………でも、江口さんも好き」




「だから…」と私の頭に手を置いて、ポンポン、と撫でながら、いつもの可愛らしい笑顔を見せてくれる梅ちゃん。





梅原「好きな2人が幸せになってくれたら、俺は嬉しい」


『っ……で、でも、江口さんは』


梅原「本気でこのまま何も伝えないつもりなわけ？お前そんな臆病な奴だったっけ」


『う…』


梅原「後先考えずに突っ込んでいくのが、島田Aなんじゃねーの？」




「少なくとも俺はAのそーゆーとこが好きなんだけど」なんていつも絶対言わないことを言ってくる。




いつもそう。





怖がりな私の手を引っ張ってくれる。






梅原「…っておい、また泣くなよ俺が泣かせてるみたいだろ」


『だってぇ………梅ちゃん今日優しいから…』



梅原「いつもだろいつも。で、どーすんの。行くのか行かないのか」



“はっきりしろ”とデコピンされ、その微かな痛みとさっきの梅ちゃんの言葉で目が覚めた。




私らしくない。



もう、うじうじするのは嫌だ。







『次の現場終わったら、江口さんとこ行く』





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