優しさとカレー(リク) ページ2
リク:悪阻で体調がすぐれない
.
.
お母さんや、先輩女性声優さんでお子さんがいる方から話は聞いてたけど、悪阻というものは想像以上にキツいものだった。
何を食べても吐くし、何の匂いを嗅いでも吐く。
今まで生きてきて一番キツい日々を過ごしている。
事務所に言ったら「無理はしなくていい」と言われたけど、家で出来る仕事はなるべくしたい。それに仕事してたら気が紛れる感じもあった。
『ふう…疲れた』
「ねえ、しばらく休んだ方がいいって…心配なんだけど…」
『仕事してると平気なんですよね、あ、ごめんなさいちょっと吐いてきます』
「えええ大丈夫！？そんなコンビニ行くみたいなノリで言う！？」
お酒を飲んでた時はよく二日酔いで吐いてたからなぜかこんな感じのノリになってしまうのが悪い癖である。
「変わってあげられなくてごめん…」
私が吐く現場についてきて、背中をさすってくれるパイセンは小さい声でいつもそう言う。
背中をさすってくれるだけで救われるのである。
ようやくマシになってベッドに寝転んだらパイセンも寝転んできた。
『パイセンも眠いですか？』
「ううん、眠くないけどなんとなく寝てみた」
『最近パイセンと全然お喋り出来てないです…』
「いいんだってそんなん。しんどいもん」
『パイセン…』
「本当に変わりたい…これ以上見てらんない」
『けど産まれる時はもっとすごいって先輩が言ってました』
「おう…まじか」
産まれる時なんてまだまだ先かもしれない。
少し膨らんだお腹をパイセンが撫でてくれた。
『ちょっとお腹出てますよね』
「脂肪じゃないよね…？」
『失礼ですね、殴りますよ』
「いてっ、もう殴ったじゃん」
『さて、ご飯作りますね』
「え、ゆっくりしときなよ。俺するよ」
『しますします、よいしょっと』
起き上がってキッチンに行ったけど歩いてる時点でふらついた。すかさずパイセンが受け止めてくれてなんとか倒れることはなかった。
「ねえ、本当に危ない。今は俺の言う事聞いてて、お願い」
『ごめんなさい…ありがとうございます』
「ちゃんと掴まってて」
『え、どこをですか？』
「いてて！なんで前髪！？」
『ごめんなさい！』
お姫様抱っこでまたベッドに戻してもらった。私は寝転んでるけど、パイセンはその傍らで座っている。私が眠るまでお腹を撫でてくれて、目が覚めた時にはカレーの匂いが広がっていた。カレーは平気なんだよね。
ーー
リクエストありがとうございました！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 602人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男性声優」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にこ(プロフ) - 貴方が書く江口さんが一番好きです！！何回も繰り返し読んでます。これからも応援してます！！ (2020年6月30日 23時) (
レス) id: 0e561a1b81 (このIDを非表示/違反報告)
west - 続編ありがとうございます！江口さん可愛い、、 (2020年6月4日 20時) (レス) id: df52d3e3aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：p@n@
| 作成日時：2020年6月4日 1時
