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夜
両親がいないのをいいことに
少しでも時間があればリビングでゲームをする
廉の後ろ姿を頬杖ついて見ていた。
時折「 うおー！ 」とか「 うわ！ 」とか
普段聞かないような声を出して熱中する彼は
両親が帰ってきてほしいと思ってるのだろうか。
「 廉 」
「 …うわっ最悪！ダメージ食らった！ 」
「 ねえ、廉 」
「 何？俺今めっちゃええとこやねんけど 」
「 中学時代好きだった子と何か進展あった？ 」
「 … 」
画面を止めてコントローラーをガタンと置き、
ソファーの背もたれに左腕をぶら下げると
「 あった 」と小さく呟いた。
「 ほんと？告られた？告った？ 」
「 どっちもちゃう 」
「 じゃあ何？会うの決めたとか？ 」
「 …そいつのことまた好きになったかもって 」
視線を下げて照れたように呟く廉に
「 ほんと！？告っちゃいなよ！ 」
明るく声をかけてみると「 …るさい 」と背を向ける。
「 好きだったら伝えなって！ 」
「 分かったから 」
「 廉だったら絶対に大丈夫！うまくいく！ 」
「 逆にプレッシャーやねんけど 」
前を向いてもゲームを再開せずに動きを止める廉は
自分の気持ちを私に言ったことで動揺していて
思考停止に陥っているんだと思う。
だってコントローラーはしっかり握られているから。
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作者名：いと | 作成日時：2020年10月27日 17時
