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明日から始まる冬休みに向けて体育館に集まって
校長の長話や生活指導の先生の話などを
子守唄のように聞かせられた朝。
冬休みに冬季講習が含まれているのはおかしい。
夏休みに夏季講習が含まれているのもおかしい。
講習が終わってから初めて長期休みが始まるのではないか。
私がそう言っても何も動かないのは分かっているので
ただただボーッと過ごして教室へ戻ってきた。
暖房が横についている窓側で心底よかったと、
クラスメイトが我も我もと言うように暖房を奪い合う
惨めな様子を頬杖ついて眺めていると
腕をさする海人が私に近づいてきた。
「 さっみー！俺の席とここぜんっぜん温度違う！
あっち地獄よ？誰かが出入りするたび激さむだかんね？ 」
無理矢理私の椅子に座ろうとするから
隣の廉の机と椅子でバランスを取る羽目に。
まだ不仲が続くこの二人に挟まれた状態で
暖房争奪戦の声を聞くことになった。
てっきり半分ずつ座るのかと思ったら
8割の面を陣取る海人のせいで殆ど空気椅子状態。
自分の席でバランスを取る私を見た廉は
机の角辺りを押さえていた左手の指を一本ずつ
ゆっくり離していく嫌がらせを始めた。
近くにいる男子と話している海人は気付いていない。
やだ、なんで自分の席なのにこんな嫌がらせ受けてんの。
口角を上げながら人差し指、中指、と離す廉に
睨みつけながら唸り声を上げて威嚇する。
それが逆効果だったのか
何故か声を殺して笑う隣の悪魔はやめる気配がない。
離された指が戻らないように両手がかりで
私の左手の指を離していく。
「 A〜？どした？ 」
今更すぎる海人の気付きに安堵した時
「 わっ！ 」
唯一残っていた手のひらが滑って
そのまま廉の太腿へダイブしてしまった。
床に膝をぶつけるし顔は廉の太腿に埋もれるし
後ろからの圧力とちょっとだけ無音になった教室に
早く担任来いよ〜！と身体が動かなかった。
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作者名：いと | 作成日時：2020年10月27日 17時
