私のキョウダイ2 (ページ31)

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もうやだ、早く帰りたい、一人で帰りたい。

冬休みの課題や見もしないプリントが前から回ってくる。

机の上に溜まっていく配布物を脱力しながら見ていた。

あの後、両脇を抱えて起こしてくれた海人。

ぺたんと冷たい床に座り込む私の頭を撫でながら

『俺のAにちょっかいかけないでくれる？』

きっと廉を睨みつけながら言ってるのだろう、

声のトーンがいつもよりも低くて怖い。

『ごめん。A、膝大丈夫？』

少し上を見上げると心配そうに私を見る廉。

膝を触ってみてもじんじん痛むだけで

出血してるわけでもないから平気だ。

『大丈夫。ごめんね、急にバランス崩しちゃって』

『俺が悪いねん。ほんまにごめんな』

伸びてくる左手。

私も右手を差し出そうとした。

『触んないで』

またもや聞こえてくる海人の声に動きを止めて

お互い自分の元へ戻される手。

思わず後ろにいる海人を見上げた。

『廉はAの何なの？ただのクラスメイトでしょ？

簡単にAのこと触ろうとしないでよ』

大きな瞳は廉という獲物を捉えて離そうとしない。

廉は何も反論せずに再び『ごめん』と言った。

そのタイミングで現れた担任は何も知らずに

自分の席に着くよう声をかけた。

クラスメイトの移動する音が心地よく聞こえた。

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