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「 肉まんもいいけどピザまんもいいなあ。
廉はどっち派？ 」
「 おでん 」
「 やっぱ肉まんだよね〜。唐揚げも追加しちゃお 」
「 ちょ、唐揚げは聞いてへん 」
「 すいません、肉まん二つと唐揚げお願いします 」
私の注文を受けた若い女の店員は
迷うことなくその通りに袋に詰めていく。
「 無視すんなや 」
店員は合計金額を提示すると廉の支払いを待っていた。
ぶつぶつ文句言いながらスマホで支払いを済ますと
袋を受け取った私をジロっと睨んで店内を出て行く。
後を追って外に出れば雪が降っていた。
持ってきていた傘をそれぞれ開く前に
袋の中から肉まんを取り出し空を見上げる廉に渡す。
熱々の肉まんをかじった廉は
足元に落ちてくる雪を鬱陶しそうに避けながら
口から湯気を出していた。
「 唐揚げは？ 」
「 これ食べ終わったら食べる。先食べてええよ 」
上唇に肉まんの皮を付けて話す彼は子供のようだ。
私達に関わりのある人達に
二人で行動しているのを見られたくなかったので
少し離れたコンビニにやってきていた。
こそこそしている私達もどうかと思うけど。
「 本当はおでん食べたかったんだよね？ごめん 」
唐揚げを食べながら謝罪する。
どうしてもおでんの気分じゃなかった。
「 いやええよ。どっちか言うたらおでんやけど 」
「 次買えばいいか。そうだ、それでいいね 」
「 勝手に決めんなや(笑) 」
手元の肉まんから出る湯気は風でこちらに流れてくる。
肉まんの香りを感じながら食べる唐揚げは
これまで以上に贅沢で
廉じゃないけど白米が恋しくなった。
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作者名：いと | 作成日時：2020年10月27日 17時
