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16 恋の始まり【ふうかと色人】 ページ17

数週間の間。
色人はふうかに恋心を抱いていた。
もちろん、ふうかも。
その、数週間のお話。

「いーち、にーい、さーんのしぃーい」

よく、稽古を抜け出して神社と遥か昔に呼ばれていた建物でかくれんぼをしていた。

「ど、どうしよ…」

木に登るのは皆がやってしまっている。
すぐに分かってしまうだろう。

と冷静に分析していたふうかは神社をうろうろしていた。
すると腕を引っ張られた。

「?!」

「しぃー」

「…色人…?」

腕を引っ張った人物は向日葵色人だった。

「鬼、だいちが来る。静かにね」

「…うん」

色人が笑顔で、腕を引いてくれた。
それが、いつも嬉しくて。

任務でも、

「大丈夫?」

「…へい…き」

皆より体力が少ない自分を、いつも色人は心配してくれた。

「ほら」

「…ありがとう」

腕を引いてくれた。
いつも、笑顔で、向日葵の様な、笑顔で。

かくれんぼも、稽古も…

「やばっ…鬼が来たっ…」

「わっ…」

色人が引いてくれる手…

「ふうか…皆の足…引っ張ってばっかり…」

悩みも、

「んなことねーよ!じゃあ、俺がずっとふうかの事、助けてやるから!」

必死な顔してそう言った後、すぐに照れてそっぽを向いた。

「……ありがとう」

ふうかも、泣きそうになるのを我慢しながら笑顔で言った。

そのうち、色人も、ふうかも、互いを互いに好きになっていた。
そんなある夜の日だった。
ベランダに二人はいた。

「なぁ、ふうか…」

「…なぁに」

「俺、ずっとは傍にいられない…だけど、必ず迎えに行くからな!」

…また必死な顔をして顔が赤くなってそっぽをむいた。

「…うん。ありがとう…待つよ…」

ふにゃりと笑うふうかを月が照らした。

今となっては、後悔しかない。
このときから色人は決めていたのだろうか。
行くという事を。

『ふうかのだいすきはおよめさんにしたいっていうだいすきです』

「ふうかも…お嫁さんにしてほしいっていう…大好きだよ…」

あの日話したベランダで一人ふうかは手紙を読みなおしながら言うのだった。

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作者名:シュヴィ | 作者ホームページ:   
作成日時:2015年5月16日 10時

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