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『藤ヶ谷さん、この前BARでお会いした方の事が好きなんですよね?
◯◯タワーでもお見かけしてますよね』
「でもおれ、彼女に酷いことしてるからさ
今更…」
『でも、まだ好きなんですよね?』
「……」
『2人のこと全部知ってる訳じゃないんで、なんとも言えないですけど
あの時見た彼女、藤ヶ谷さんのこと嫌いじゃないと思います』
「…」
『ちゃんと話した方がいいと思います』
ああ、喋ってると涙が出そう
でもここで泣いたら彼を困らせちゃうから
『私、藤ヶ谷さんのこと本気で好きでした。
でももう疲れちゃったんです。
藤ヶ谷さんの先輩が愛されるより愛したいとか歌ってますけど
私は断然愛してくれる人がいいです』
『ごめんなさい。私の事好きじゃない男に興味無いです』
涙は流さない
あなたのために流す涙はもう無いの
豆乳ラテを飲み干すとお金をテーブルの上に置いて
店を出る支度をする
「橘ちゃん」
『はい』
「俺は橘ちゃんに甘えっぱなしだった。
それで救われた部分は沢山あるんだ。
本当にありがとう。そして傷付けてごめん。」
『…』
「橘ちゃんはさ、本当に可愛くてとても素敵な女の子だから、
きっとこれからいい出会いがあるよ」
『ありがとうございます。』
コートを羽織って席を立つ
『藤ヶ谷さん。あなたを好きになれて、あなたの隣に居ることが出来て、曖昧な関係だったけど幸せでした。』
『では、''お疲れ様でした''』
「うん。''お疲れ様''」
これで私たちは''同業者''に戻る
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作者名:ゆき | 作成日時:2023年6月18日 18時