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考えもなしに飛び出して来てしまった……
この辺の土地勘は余りないし
タクシー拾って帰ろう
そう思って道沿いを歩いてみても
こういう時に限って捕まらないタクシー
15分くらい歩いて、やっとタクシーを見つける
手を上げて止めようとした時
「あれ？橘ちゃん？」
鼻にかかったような甘い声で呼ばれる
振り返ると夜なのにカラーサングラスな北山さん
「藤ヶ谷と宮田と飲み行くんじゃなかったの？」
『…』
トコトコと近寄ってきて顔を覗き込まれる
泣いてメイクもボロボロで
目も赤い顔を見られたく無くて
つい顔を背ける
私の顔を見てうーんと一瞬空を仰いだ北山さんは
そのまま私の手首を掴んで歩き始める
「ちょうど良かった、大倉が収録長引いてて来れなくなってさ暇してたんだ。付き合ってよ」
『なっ、ちょ』
「あタクシー来た」
私の手首を掴んだままタクシーに乗り込み
行き先を運転手さんに伝える北山さん
なんて強引な…！？
「おっ着いた着いた」とタクシーを降りた先は
『サウナ…？』
「そ、完全個室で最近のお気に入り。ほら、行くよ」
そう言ってまた私の手を引く
もう抵抗する気力すらなくて
ただひたすら着いて行った
「大人二人で、
あ、あとウェアと水着も2人分お願いします」
受付をすませ北山さんは受け取ったルームキーをこちらに見せて笑ったあと
「んじゃ、行こうぜ〜」とまた私の手を取って歩き出す
もうなんでもいいや
今日はもうなんでもいいよ
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年6月18日 18時
