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『それだけですか?』

「俺が直接見聞きしたのはね」



「でも、マネージャーがさ
ガヤさんが稽古の合間に◯◯タワーに行きたがるから大変だ
って漏らしてるの聞いた事あったから、
ガールちゃんに会いに行ってたのかもね」


「今さ、俺達ちょっと大変な時期でさ…
色々重なってガヤさんが思い詰めることも多々あったけど、
定期的に雰囲気が柔らかい時があってさ。
今考えるとガールちゃん効果なのかなって…。
勝手に俺が思ってるだけだけどね」


「で、こことは違うBARでガールちゃんと男性が
仲良さそうに飲んでるの見かけたんだ。
後から聞いたら彼氏さんじゃなかったんだけど
俺てっきり彼氏さんだと思ってガヤさんに報告しちゃったんだ」



あの時のか、
あの時から彼の態度がおかしかったんだ

やっぱりそうじゃん、
彼女のことじゃん



「そしたら、まさかの橘ちゃんとのツーショット。
まあ、橘ちゃんの気持ちには薄々勘づいてたけど
やっぱりびっくりしたよ」

「それもあるんだろうけど、ここ1ヶ月くらい?
ガールちゃんすっごい荒んでたし、
ガヤさんもガヤさんで煮え切らないし
どうにか出来ないかなって思って今日ガヤさんを誘ったんだ」

「ガールちゃんが今日いるかは賭けだったけど、がやさんが気に入って通うようになったら、またふたりが会えるかなって」

「そう思ったんだけどね」



ああ、なるほど
何となく理解した

この物語のヒロインは私じゃない

彼女だ

私だって本気で好きだったのに
悔しい、、悲しい、、、心が痛い



「ごめんね?」



そう言いながらハンカチを渡してくれる宮田さん
もう何も考えたくなくて
ハンカチは受け取らず涙も拭かずに私は店を後にした

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作者名:ゆき | 作成日時:2023年6月18日 18時

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