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クタクタになりながら帰宅
途中コンビニでご飯とクリスマスだからということで八海山(しかも純米大吟醸)なんか買っちゃった
ぱぱっとシャワーを浴びて髪の毛も乾かさずに
八海山をグラスに注ぐ
グッと1口飲むと
お風呂上がりの火照った体に染み渡る
湯冷めしても困るので2杯目は熱燗にしようと耐熱グラスに注ごうとしたとき時着信音がひびく
画面に表示される
着信 田中さん の文字にびっくりしてグラスに酒を入れすぎる
慌てて通話ボタンを押すと遠慮がちに響く彼の声
「…もしもし」
『もしもし』
「A?」
『はい』
「いま、何してた?」
ああ、彼の声だ
『お酒飲んでました』
「ハハッ、クリスマスなのに変わりないのな」
彼が笑ってる
『日本酒の八海山、しかも純米吟醸にしました』
「ちょっとスペシャルだ」
『はい』
それだけで泣きそうになる
ああどうしようもなく好きだ
とめどなく出てくる想いが溢れてしまいそうで
「A?」
そんな声で私を呼ぶから
『藤ヶ谷さん』
「ん?」
ダメなのに
『……』
「A?」
分かっているのに
『藤ヶ谷さん…』
『──────』
「…」
止められない
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作者名:ゆき | 作成日時:2023年6月18日 18時