Escape from Fate 4 (ページ26)

今日:41 hit、昨日:32 hit、合計:16,542 hit

6 ページ26

仕事の合間

午後3時

スタジオまで迎えに来てくれた彼の車に
サっと乗り込む

彼はサングラスを付けていてとてもかっこいい

「お疲れ」

『お疲れ様です！
少しだけでも会えるなんて嬉しいです！』

「じゃあ行こうか」

彼の一言で走り出す車

俺もだよなんて絶対に言ってくれない

スモークが貼られた際から景色を見ながら
彼にたくさん話しかける

私と居る時ぐらい
私のことで頭をいっぱいにして欲しいから

だんだんと近付いてくる目的地に
上がるテンションを隠しきれないけど
慣れた様子で入口に近い場所へ車を停める様子に
少しだけ泣きたくなった

だから少しだけ染めたくなった
車から出てエスコートしてくれる藤ヶ谷さんに
シュッと私の香水をかける

『この香水、私のお気に入りなんです。
だから、今だけお揃いです』

そっか。と少しだけ笑った顔が悲しくて

『早く行きましょ！すごく楽しみ！』

無理やりテンションを上げて見ないフリをする

やっぱり慣れた手つきでチケットを購入する彼
わざわざ追加料金のかかる
VIPエリアのチケットを買ってくれたことに胸キュン

平日だからか館内は空いていて
VIPエリアは私たちの貸切だった

とてもラグジュアリーな雰囲気で気分が高まる

入ってすぐで案内してくれたスタッフさんは
私たちに気付いたのか
少し変な顔をしたけれど
そんなの忘れちゃうくらい素敵な空間だった

しばらくの間楽しんでいると
少し離れた位置にいた彼が固まる

不思議に思って近くに行くと
鏡越しにスタッフさんが見えた

さっき出迎えてくれたスタッフさんと
もう一人

鏡に映る2人から目を離さない彼

私を見て欲しくて腕を組んでも視線は動かない

『藤ヶ谷さん…？』

「どうしたの？」

腕をクイッと引っ張ってようやく目が合う

『もうそろそろ行かないと』

「ああ、そうだね」

出口に向かうと後から来たスタッフさんがこちらへ体を向ける

彼に気付いたのか、
彼女の瞳が揺れているのがわかった

真横にいるからわかる
サングラスの隙間から覗く
彼の瞳も揺れていること

ああ、ここにはデートで来たんじゃなくて
あの人に会いに来ていたんですか？

でも、今は気付いてあげない
彼の隣から離れたくない