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「明日、どこに行きたいか決まった?」

『はい!前から行ってみたかった場所があったんですよ!』

「それは良かった」



何度目かの彼とのデート。
あの日以降、キスなんてしてなくて
少し前に進めたと思った彼との関係は
まったく変わっていなかった。



「撮影の合間になっちゃうから、そんなに遠くないところね」

『ふふ、私も仕事の合間なので、そこは安心してください』

「ありがとう。ちなみにどこ?』



優しい彼の声がいつもより明るいから
少しは楽しみにしてくれてるのかなー
なんて浮かれていたんだ。



『○○タワーです!』

「…え?」

『○○タワー行ったことあります?
私東京生まれ東京育ちなのに一回も行ったことなくて
一回行ってみたかったんですよね!』



彼の「え?」のトーンが低くて、
無口になるのが怖くて一気にまくし立てる。



「俺は何度か行った事あるよ。案内してあげる」

『わぁい。ありがとうございます』



そこには、思っている人と行ったんですか?
何度も行くくらい、その人とデートしたいですか?
楽しみなはずなのに苦しくて

でも、今その人はまるっとには居ないから
私との思い出で塗り替えてしまえばいい

そんな風に思っていた

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作者名:ゆき | 作成日時:2023年6月18日 18時

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