Escape from Fate 4 (ページ24)

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「明日、記事が出る」

マネージャーに呼び出されて
事務所ではなく、父の会社へ行くと
週刊誌のゲラを持ったマネージャーがいた。

写真には私と彼とのツーショット

「写真まで撮られててアレだけど、一応聞いとくね。
これは事実かな？」

マネージャーの問いには頷かず記事に目を通す

熱愛発覚…ビッグカップル誕生…ラブラブな様子…

盛り上げっている本文とは何ともギャップのあるリアル

恋仲なのか恋人なのか
キスを交わしてもなお私達の関系は曖昧だった

キスを交わしたのすらあの1回のみ
あの1回だって弱ってる彼に私からしたキス

あそこに彼の気持ちがあったなんて思ってない

『彼は、彼の事務所は何て？』

「こちらに合わせると仰っているよ」

彼は本当に狡い
そうやって私に一任してくるんだ

するとそれまで黙っていた父が口を開く

「橘(人1)と付き合って損をする業界人などいない。
認めるのが彼の為ではないのか？」

父の言う言葉の意味は分かる。
それでも、この恋だけは綺麗なままでいたいの

『とりあえず、ノーコメントで。まだ私の片思いなの。』

「ならば認めて既成事実を作る他ないだろう」

『そんな簡単な話じゃないの。
お願い、お父さんは何もしないで』

これ以上彼を傷つけたく無い

その夜、彼からの電話

「ごめんね。こんな事になって」

『藤ヶ谷さんのせいじゃありません』

「おわびに、俺に出来ることがあればいいんだけど」

『私はただ、藤ヶ谷さんのそばに居ることが、できれば、それで大満足です』

「そっか』

力なく笑う彼
誰かの代わりでも良いの
今藤ヶ谷さんの隣に居るのは私だから

たとえ時間がかかっても、
いつか私を見てくれるまで、
私はずっと待つから

付き合ってくださいなんて言わない

それでも、今すぐ会いたい

なんて言える訳無いけど

翌日出た記事に書かれた双方の事務所からのコメントは
『プライベートなことは本人に任せております』

本当に父のことを恨みそうになった

確実に父の圧力がかかっていた