Escape from Fate 4 (ページ22)

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彼を追いかける度胸もなくて
それでもあんな顔をした彼を放っておける訳なくて

彼らの撮影が終わる頃を見計らってスタジオのロビーで待つ

先に出てきたのは舞祭組の皆さん

「あれ？橘さんだ」

『あ、皆さんお疲れ様です！』

「マネージャーさんは？」

『今、打ち合わせしててここで待ってます』

「そうなんだ、気をつけてね」

『ありがとうございます！』

「お疲れ様～」

『お疲れ様です！』

なんて嘘
マネージャーには色々理由をつけて先に帰って貰った

数分後に出てきたのは北山さんと玉森さんとマネージャーさん

『お疲れ様です』

「お疲れ様でーす」

こちらとは軽く挨拶をするだけ

藤ヶ谷さん以外とはそこまで深く話した事が無いからこのくらいで自然だ

数分経ってからようやく出てきた彼は
先程と同じ表情で、私まで辛くなってくる

『藤ヶ谷さん』

そっと声もかけるとふわりと微笑んでくれて
あぁ、やっぱりこの人が大好きだと再認識する

「橘ちゃん、どうしたの？」

『帰ろうかなと思ったら、たまたまお見かけして…この後もお仕事ですか？』

「いや、今日はこれで終わり。橘ちゃんは？」

和めてだった
彼が私の予定を聞いてくれるだなんて

『私もこれで終わりです。あ、よかったらこの後ご飯でもどうですか？』

「ハハ、俺と2人だなんてマネージャーさんに怒られるよ？」

『大丈夫ですよ～』

今日ならイるかもしれないと思った
あの会話と表情、藤ヶ谷さんらしくない受け答え
ここでもし、ご飯に行ってくれると言うなら
私にとって絶好のチャンスだ。

「じゃあ、少だけだよ」

いつもなら絶対に断わられる誘い
彼に何かがあったことなんて
聞かなくても分かった