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「ふ〜ん、アイドルでも一目惚れなんてするんですね」
『ムカつくなその顔』
「なっ、可愛い彼女にその言い方はないんじゃないですか?」
『ニヤつきすぎ』
えへへ〜と俺の隣りでニヤついている彼女
『Aは?』
「何がですか?」
『いつから俺の事好きなの?』
「?小学生の頃から…あ、出戻ったのは今年ですよ」
『そうじゃない』
「…?」
はて?と、とぼけた顔が可愛くてうりゃうりゃと構ってやりたくなるが
聞いてみたいものは聞いてみたい
まあいい、夜は長いさ
お湯割りのおかわりを取りに行った彼女の後に続く
『俺も飲みたい』
「…飲酒運転でもするつもりですか?」
何考えてんの?という表情が隠しきれていない
小柄な彼女の頭に顎を置いて腕を回す
グッと固まって動きがぎこちなくなる彼女が愛おしい
『本当は泊まりたいけどさー、さすがにマネージャーに怒られそうだからなー』
「なら、さっさと帰った方がいいと思いますけど」
『まだ、8時だし平気。』
「はぁ」
お湯割りを作り終えたのか
大切そうにカップを持って部屋へ戻ろうとする彼女を
俺は離してやらない
「ちょ、動けない」
『まあいいや、今度泊まりに来るからその時に聞くしその時に一緒に呑む』
「は!?泊まりに来るんですか!?」
『んだよ、いいだろ』
「いやいや、お客様用の布団ないですよ」
なかなか離れない俺を剥がすことを諦めたのか
俺が引っ付いたまま歩き出す
『いーよ、一緒に寝るから』
「シングルベッドに2人で寝るつもりですか?」
『A小さいから入れるだろ』
「えええ〜」
そんなに嫌がらなくても…
ベッドを背もたれにして2人並んで座る
この前まで定位置は斜めだったのに
それが嬉しくてたまらない
「何笑ってるんですか?」
『別に?』
「変な藤ヶ谷さん」
『うるせぇ』
お湯割りに注がれた視線を無理やりこっちに向けて
音を立てて唇を落とす
『アハハッ、顔真っ赤じゃん』
「きゅ、急に、そんなことするから…!」
まだまだ夜は長い
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作者名:ゆき | 作成日時:2023年6月18日 18時