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それから理由を付けて彼女に連絡したり
彼女の家に行ったり

いい雰囲気だと
彼女も俺のことを好きでいてくれていると
その時は自惚れていた

だけどいつからか、ファン、自担、推し、アイドル
そんな言葉を会話に混ぜるようになって
もしかしたら牽制されているのかもなんて考えた

それでも彼女への気持ちは止まらなくて
東京公演の千秋楽の次の日


俺からちょっと逃げた癖に結局家に上げてる彼女の甘さ
俺が居るのお構い無しに水割りの2杯目を飲む無防備さ
いつも同じ水割りなのに見ていて気持ちの良いくらいの表情

あとは、東京公演が無事終了したことへの安堵もあったのだと思う



『舞台終わるまで言わないでおこうって思ってたのに』

『ちょっと無理そうだわ』



さくらとの距離を少し詰めると
不安そうに瞳が揺れる


お願い、俺から逃げないで


どこか遠くで警報音がなっている気がした



『好きなんだ。さくらの事』



頭の中の警報音が鳴り止み
彼女の顔を見たときに思いを止められなかったことを深く後悔した


それでも連絡を返してくれる彼女に安心して
舞台が終わったらもう一度きちんと告白をしようと思った


大千穐楽で彼女を見つけた時は本当に嬉しくて
早く会いたい、会って話しがしたい、強く抱き締めたい
そんなふうに思って落ち着いた頃に連絡を入れた


だけど返信が来ることは無くて
家に行っても職場に行っても会えない


マネージャーにも勘づかれそうになって
今日が最後だと決めて
いつもとは違う通りで彼女を待つ


それで見つけたんだ
全速力で走ってくるさくらを

ここで捕まえないと後悔する

やっぱりこれは運命なんだ

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作者名:ゆき | 作成日時:2023年6月18日 18時

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