Escape from Fate 4 (ページ17)

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好きだと自覚したのは割と早かったと思う

反応の割には大胆な彼女に良いなと思ったんだ
俺の腕を掴んで引っ張ったり
俺の事をバカだと言ったり

反応が面白くてからかっているつもりだったけど
わざわざ会いに行く時点でお察しの通り
その日のうちに好きだと自覚した

舞台の稽古の合間を縫って会いに行って
連絡先を知りたくて勇気をだして聞いてみたり

まあ、玉砕したけど

彼女は『アイドルとファン』の距離感を保ちたいようで
何度か通っても反応は変わらなかった
むしろ冷たくなっている気もしていた

仕事終わりの彼女を待ち伏せて
無理やり連絡先を交換してほくほくしていたけれど
ヒールで全力疾走する彼女と
スマホの液晶に映る時間を見てハッとする

『あ、終電…。今からなら間に合うかな』

普段乗ることの無い電車
終電という概念を忘れていた

今から追えば彼女に追いつけると思い
手早く彼女の登録名を分かりやすくさくらに変えて
駐車場に停めていた車を急いで最寄り駅へ走らせる

太輔引き止めてごめん、終電のこと考えてなくて
俺、車で来てて
もし終電乗れなかったら送ってくから
連絡ちょうだい

車をロータリーに停め彼女へメッセージを送る

少し遠くに彼女に似た背格好の女性を見つけるが
それと同時に彼女から

さくらご心配ありがとうございます
電車乗れたので大丈夫です
気になさらないでください

とメッセージが届く

乗れたのならと思ったが
彼女ならばそう言って俺との距離を取りそうだなと思い急いで
さっきのさくららしき影を追うことにした