甘ったるい彼等④【短編集】(雪男) (ページ18)

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you side

「ちがうの、」

『うん？』

「いっぱいして貰えるのが当たり前って思うようになるのが怖い
　辰哉がいないと生きてけなくなりそうだから…」

そこまで言ってやってしまったと後悔した
こんな重たいことを言う女が何より嫌いな男だ。

「ごめん、忘れて」と言おうと、恐る恐る辰哉の顔を見上げると
なんともだらしのない形をしていて訳が分からなくなる。

「笑ってる…」

『うん、ごめん』

「顔がバカにしてる…」

『してないよ、そんな可愛いこと言われてたまんないだけ』

どこが！と言う言葉は辰哉の唇に吸い込まれてった。

『それに、お互い様だし』

「え？」

『Aは俺無しじゃ生きてけなくなるかもって思うんでしょ？
　でも俺はとっくの昔にお前無しじゃ生きてけないよ。
　飯も食えなくなるだろうし、死ぬのはきっと時間の問題。』

私を見下ろす辰哉は愉しげで、でもいつになく真剣で
この言葉がその場しのぎでないことがよく分かる。

『重いっしょ？
　自分でもこんなになるなんてびっくりなんだけど
　そんくらいAのことが好きなんだよね、俺。
　だから飽きるなんてありえないんだけど
　Aがほんとに嫌ならこういう頻度は下げるよ』

「嫌…じゃないけど」

『じゃあこんままでい？』

「うん、、」

『なぁんにも心配しないで、受け取ってくれればいーの
　俺はあなたの可愛い顔が見たいだけなんだから
　大人しく愛されてといてよ』

「ありがとう…
　辰哉、大好きだよ」

『うん、俺も。』

そう言ってまた優しく唇を合わせてくれるから愛しさが溢れた。

.
.

『てことでアッチでも可愛い顔見せてくれる？』

「…」

『え、聞いてる？』

「はぁほんと可愛い…」

『あ、ちょっと無視は無理かも！悲しいよ！』

「どっちから着け始めようかな」

『右のがいいんじゃん？』

「うん、じゃあそーする」

『うん、じゃあベッド行く？』

「…」

『あ、お断りの意思表示だったんだ？？？』

「…」

『え、ほんとに無理？』

「………お風呂入ってから」

『ぃよっしゃーーーーー！』

「うるっさいよ！」

すぐにいつもの調子に戻った辰哉に照れてお風呂場に逃げてしまったけど、私だってその重さに釣り合う愛を返したいから

今日は貴方のお気に入りのボディクリームと下着のセットを身に付けてベッドに向かうことにするね。

Fin.