金盞花 2【ブルーロック】

56.愛を求める話 ページ9

❁︎凛side



『……もう…もう、大丈夫だよ。凛。私のことなんか見ないで大丈夫だから。凛は凛の人生を生きて』



何であんなに寂しそうに笑ったんだ。
何であんなに苦しそうなんだよ。

「……」

頭の中がグルグルして気持ち悪い。
くしゃりと髪の毛を掴んで、顔を俯けた。

「……A」

俺は、どうすればいいんだ？
これからもお前のことを見てお前のことだけを愛したい。
なのに、お前にも拒否されて捨てられたら俺は――。


「――今日は本当にありがとう。いろいろ、迷惑かけちゃってごめんね」


「…！」

聞き慣れた姉の声がした。
キョロキョロと周りを見回して姉の姿を探す。

「いえいえ！こちらこそ、色々と連れ回してしまってすみません」

「またね。A」

「うんっ。またね」

最近は見ることの出来なかった、姉の笑顔。
アイツが笑った瞬間、世界がキラキラして見えて。
アイツの笑顔が、声が、全てが大好きだったのに。

なんでお前は今、俺以外に笑いかけている――？



『――凛は、多分過去の私に縛られてるんだよね』



縛られてる？過去のお前に？

「……」

……あぁ、そうかもな。
きっと、俺は過去のお前に執着してる。
今のお前が俺を拒否しようと、過去のお前が俺を離してくれない。離れようと、思えない。

「……アイツの、笑顔は…ッ」

俺だけの物だったのに。
俺だけが見てよかったのに。なんで他の奴に振りまいてんだよ。なんで俺以外を見てんだよ。
俺に見てほしいって言ったのはお前だろ？なら、守れよ。
責任とってくれるって言ったろ。

「……A」

俺は、お前を異性として愛してるから。
お前の望んだ通り、お前だけを見てるから。
――お前にも同等の愛を求めたら、ダメなのかよ。

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