48.紫と出会う話 ページ1
凛と喧嘩してから、数日。
あの日から私と凛は顔も合わさなくなった。凛は時々、私の方を見てくるけど私はそれを無視している。
…今、凛の顔をちゃんと見られる気がしないから。
「…もう、どうしたらいいんだろう」
こんな話題、誰かに相談出来る自信もないし……。
このまま凛とは一生ギスギスした関係なのかな……。
「そんなの、やだなぁ……」
「……A?」
聞き慣れた声がした気がして、上を向くと――。
「……誠士郎、くん…」
スポーツバッグを肩から下げた誠士郎くんが私の顔をのぞきこんでいた。
「……えっ、と……久しぶり…だね」
「?昨日も連絡したよね?」
「え、あ…う、うん」
あれから、私は凛の目を盗んで誠士郎くんとちょくちょく連絡をとっている。
誠士郎くんとは気を使わずに話せる気がしてとても安心する……けど、凛と喧嘩してからは何をしても気が休まらない日々が続いている。
「……A?大丈夫?」
「あ……ご、ごめん。暑いからかな…なんかボーッとしちゃう」
笑いながら、手をパタパタと動かす。
誠士郎くんは目を細めてからぐったりと私に体を預けてきた。
「へっ、ちょ…せ、誠士郎くん?」
「あー……暑いぃ……」
暑いならなんで私に抱きついてんの……。
誠士郎くんの行動がよめなくて、目を白黒とさせる。
すると、紫髪を揺らした男の人が私から誠士郎くんを離してくれた。
「おい、凪。急に女性に抱きつくなよ。びっくりするだろ?」
「あー…ごめん、玲王」
全然反省してなさそうな誠士郎くんは一旦ほっといて。
私は紫髪の人にぺこりとお辞儀をする。
「あ、あの…ありがとうございます」
「あー全然いいですよ。それより、凪に変なところさわられてませんか?」
「ちょっと玲王、さすがに俺もそんなことしない」
「えー?そうか?」
ハハッ、と笑いながら誠士郎くんを宥める玲王…?さん。
「あの…」と手を挙げると、玲王さんと誠士郎くんはこちらに顔を向けた。
「えっと…誠士郎くんのご友人…ですか?」
「あ、自己紹介してなかったですね」
玲王さんは誠士郎くんの肩を強引にくむと、ニカッと笑った。
「俺、御影玲王!凪と一緒にサッカーしてるんです!」
光り輝く笑顔を向けられて溶けてしまいそうだ。
玲王さんは誠士郎くんとは真反対のいわゆる陽キャというやつなのだと、一瞬で理解した。
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湊(プロフ) - めんちさん» めんちさん、コメントありがとうございます!私もまだまだですので、一緒に頑張りましょ!💪 (6月26日 20時) (レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
めんち - めっちゃ面白いです!私も夢小説かいてるんですけど国語力なさすぎるので湊様みたいに楽しいお話つくりたいです (6月26日 14時) (レス) id: 05dd0f2a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湊 | 作成日時:2023年6月26日 9時