検索窓
今日:11 hit、昨日:56 hit、合計:71,751 hit

34.助けられる話 ページ36

「――おい」

「Aから離れろ。屑が」

「り……ん…」

視線だけで人を殺 してしまえそうな凛が私の腕をグイッと力を込めて引っ張る。私の腕は力のままに男たちから逃げ出した。

「…たすけて」

汚物を見つめるような目をしている凛にしがみついて、そう呟いた。

「当たり前だろ」

凛は私の縋りに頷いてから、私をギュッと抱きしめるようにする。

「なになに?俺たちがこの子と先に約束してたんだけど?横取りとかマナーがなってないんじゃない?」

「マナーがなってないのはテメェらの方だろうが」

男たちのチャラチャラした発言に、凛が言い返す。
男たちは凛の禍々しい雰囲気に気圧されながらも、立ち去ることはない。

「そもそも、お前誰だよ?この子と知り合いなわけ?」

ヘラヘラと笑って私を指さす男。
凛は男の指をガッと掴んでそれを力を込めていく。

「ちょ、なんで指つかんで…って、い゛った゛!!」

「二度とAを指さすんじゃねぇ…ッ」

男の指はグリグリと曲がっていく。このままでは折れてしまいそうだ。
私は凛の腕の中から抜け出して、凛の手を掴む。

「やりすぎ…!そこまではしなくていいから!」

そう言うと、凛はパッと男の指から手を離した。
男の指は真っ赤なあとがついていて、弟の馬鹿力を実感した。

「…チッ。二度と視界に入ってくんじゃねぇ、ゴミが」

凛がそう言ったのを最後に、男たちは走って逃げ去った。
私は彼らの背中が見えなくなるまで彼らを見つめて…ため息をついた。

「はぁ…こわかったぁ…」

肩を落としてそう呟く。
人生初ナンパ。トラウマになりそうだ。

「…待たせて、ごめん」

「え?」

凛の口から何か聞こえて、上を向く。
凛は長いまつ毛をふせて俯いていた。
私は背伸びをして、彼の頭をポンポンと撫でる。
今日はヒールを履いているので一応手は届いた。それでも、背伸びしなくては届かないが。

「…姉ちゃん?」

「ありがとう、凛。凛が助けてくれなかったら、私は今頃あの人たちに連れ去られてたと思う。ほんとにありがとう」

ニコッと笑って、彼のサラサラした髪を撫でる。
凛はくすぐったそうに目を細めてから、顔を上げた。

「…これから、どうしよっか」

当初の予定はカフェに行くだけだったのだが、凛がどこかへ行ってしまったことによりいろいろと予定が狂った。
私がひとりでこの後の予定について考えていると、凛が「…んじゃあ」と声を上げた。

「…姉ちゃんに渡したいものがあるんだけど」

35.プレゼントをもらう話→←33.ナンパされる話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (107 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
272人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - もちうささん» もちうささん、コメントありがとうございます!これからもふたつのルートにご注目ください! (6月8日 19時) (レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさ - 凛ルートと凪ルートがありますね!凛君推しなので結婚とか出来なくても事実婚なら出来ますね! (6月8日 13時) (レス) @page34 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - アルです!\(●°ω°●)/さん» アルです!\(●°ω°●)/さん、コメントありがとうございます!凪は私的にも好きなキャラクターなのでどんどん活躍させていきたいと思っています! (5月28日 1時) (レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
アルです!\(●°ω°●)/(プロフ) - そういえば糸師兄弟と凪は神奈川県出身だったなぁ…凪登場ありがとうございます! (5月28日 0時) (レス) @page17 id: f6a6e363df (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年5月19日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。