33.ナンパされる話 ページ35
「…」
凛にキスされた手を見つめる。
人生初のファーストキス…。こんな形で奪われることになるとは。唇ではないけれど。
「…はぁ」
凛は私をどうしたいんだろう？
彼女の練習にでもしたいのだろうか？だとしたら、今すぐやめてほしい。乙女心で遊ばないで。
「…凛、遅いな」
腕時計で時間を確認してから、じっと遠くを見つめる。
凛が用事があるから待ってろ、と言ってからすでに十数分の時が過ぎている。
もしかして私、置いていかれた？、などとマイナスな気持ちで俯いているとその声はふりかかってきた。
「お姉さん、今ひとり？」
「え？」
凛がチャラチャラしたキャラに目覚めたのかと思って上を向くと、チャラそうな金髪の男の人がふたり。凛ではなかった。
「えっと……？」
誰かも知らない人に声をかけられてパニックになる。
男の人はニコニコ笑って、ヒラヒラと手を振った。
「今からオレらとちょっと遊ばない？楽しーよ！」
…これは、俗に言うナンパ…だろうか？
だとしたら、人生初ナンパだ。ちょっと感動。
「ほらほら！絶対楽しいって！」
グイグイと私の腕を引っ張る男の人。
「え、ちょっと待ってください。私、人を待ってて…」
「嘘はよくないって！さっきから見てたけど、お姉さんずっとひとりだったっしょ？」
さっきから見てたのか…。
知らない人にどこかへ連れていかれそうになっているのに、冷静な私の頭。
それでも知らない人について行ってはいけないのは小学校からの決まりなので、ブンブンと腕を振って彼らから逃げようとする。
「ちょっとちょっと！腕振らないでよ〜」
男はヘラヘラと笑って、私の腕を握る力を強くする。
「いっ…」
「そんな可愛い声だしちゃいけね〜だろ？」
「だ、だから…やめっ…」
怖い。さっきまで、冷静だった私の頭の中が一気に恐怖でうめつくされていく。
誰かに助けてほしくて。だけど、怖くて声が出なくなってしまった。餌を与えられる金魚のように口をパクパクとさせる。
「りん…っ」
男達には決して聞こえないであろう声量で彼の名を呼ぶ。
いつまで私を待たせるのか。はやく来て。たすけて。凛。
「――おい」
また、彼らの仲間が来たと思った。
怖くて思わずギュッと目を瞑ってしまう。
「Aから離れろ。屑が」
だけど、その声は確実に聞いたことがあって。
声が聞こえたと同時に私のもう片方の手がグイッと引っ張られた。
「り……ん…」
今、一番会いたかった人がそこにいた。
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湊(プロフ) - もちうささん» もちうささん、コメントありがとうございます！これからもふたつのルートにご注目ください！ (6月8日 19時) (
レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさ - 凛ルートと凪ルートがありますね！凛君推しなので結婚とか出来なくても事実婚なら出来ますね！ (6月8日 13時) (レス) @page34 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - アルです！\(●°ω°●)/さん» アルです！\(●°ω°●)/さん、コメントありがとうございます！凪は私的にも好きなキャラクターなのでどんどん活躍させていきたいと思っています！ (5月28日 1時) (レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
アルです！\(●°ω°●)/(プロフ) - そういえば糸師兄弟と凪は神奈川県出身だったなぁ…凪登場ありがとうございます！ (5月28日 0時) (レス) @page17 id: f6a6e363df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊 | 作成日時：2023年5月19日 12時
