32.キスされる話 ページ34
❁︎
「…これ。カップル限定って書いてあるぞ」
「…ダメだね。私たちカップルじゃない」
さよなら、パンケーキ……。
しくしくとフワフワなパンケーキに想いを馳せていると、凛が私から視線を逸らして口をひらく。
「…男女だし、カップルって言ってもバレねぇだろ」
「え？」
またもや凛の言った言葉の意味が分からずに、思考がショートした。
すると、凛は手をあげて店員さんを呼ぶ。
店員さんは手をあげた凛に気がついてこちらへ駆け寄ってきた。
私はそんな状況に焦って凛の肩をバンバン叩く。
「凛…私たち、カップルじゃないよ…！」
凛は私のそんな言葉など気にせずに店員さんを待つ。
やがて、店員さんが私たちのテーブルへとたどり着いた。
「パンケーキ、ひとつ」
「はい。カップル限定パンケーキですね。こちら、カップルと証明してもらうためにこの場でキスをする必要があるのですが、大丈夫でしょうか？」
「え」
私は店員さんの言葉に放心状態となる。
きす…きす…キス…ッ！？
「り、凛…やっぱやめ――」
「はい。大丈夫です」
「なっ…」
凛は店員さんの言葉に縦に首をふる。私はびっくりして、凛の言葉に目を疑った。
「…A。するぞ」
「え…」
私たちは、姉と弟っていう関係で…。凛と私は姉弟…。
あれ、私たちキスなんてする間柄じゃないはずだよね？
気づいたら、凛は私の手をとって跪いていて。
ちゅ、と可愛いリップ音が鳴り響く。
「…好きだ。A」
凛の行動は正しく王子様そのもので。
きっと女の子なら誰でも彼に憧れるのだろう。現に、今カフェにいる女の子は皆、凛を見つめている。
だけど、例外もいるわけで。
「…」
実の弟にキスされた事実が受け入れられずに、私は放心状態となる。凛は立ち上がって私の顔の前でパタパタと手を振る。
「…A？」
なぜこの男はこんな状況で冷静にいられるのだろう。
凛に聞きたいことがたくさん募っていく。
キスなんてしてもよかったの。私たちって姉弟だよね。
なんで。どうして。
いろんなことで頭がおかしくなりそうだった。
それでも、凛は満足気に私を見つめていて。
「パンケーキ、持ってきてくれるってよ」
「あぁ…うん」
私たちの関係は姉と弟。
恋人にも、夫婦にもなることは出来ない。
…なのに、なんで――。
「A」
私を呼ぶ凛の声はこんなにも柔らかくて優しいの？
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湊(プロフ) - もちうささん» もちうささん、コメントありがとうございます！これからもふたつのルートにご注目ください！ (6月8日 19時) (
レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさ - 凛ルートと凪ルートがありますね！凛君推しなので結婚とか出来なくても事実婚なら出来ますね！ (6月8日 13時) (レス) @page34 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - アルです！\(●°ω°●)/さん» アルです！\(●°ω°●)/さん、コメントありがとうございます！凪は私的にも好きなキャラクターなのでどんどん活躍させていきたいと思っています！ (5月28日 1時) (レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
アルです！\(●°ω°●)/(プロフ) - そういえば糸師兄弟と凪は神奈川県出身だったなぁ…凪登場ありがとうございます！ (5月28日 0時) (レス) @page17 id: f6a6e363df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊 | 作成日時：2023年5月19日 12時
