26.否定する話 ページ28
ふと、凛の姿が見えて声をかける。
「凛、今日も練習？」
「うん。俺ももっと練習しないといけないから。世界で二番目に強いストライカーになるために」
「…そっか。気をつけてね」
「うん。姉ちゃんこそ、今日も料理教室行くんだろ？気をつけてね」
「…うん。ありがとう、気をつける」
スポーツバッグを肩からさげている凛に手を振って、お見送りをする。
なんだか、ドッと疲れた気がしてリビングのソファにどっしりと座った。
「…」
絆創膏だらけの自分の手を見つめてそれを隠すようにする。
「…私も頑張らなくちゃ」
凛や冴も努力してる。だから、私も頑張らないといけないんだ。勉強も運動も特別、得意ではない私がやっと見つけられた趣味が料理なんだから。
私も料理で冴や凛みたいにならないと。
だって、私は冴と凛のお姉ちゃんなんだから。
「……サッカーなんて」
そこまで呟いて――口をとじる。
彼らの大好きなものを否定しちゃダメだ。私だって、私の好きなものを否定されたら嫌だもん。それと一緒。
だから、この言葉は誰にも見つからないように…気づかれないように奥深くにしまっておかないと。
私は、グッと拳を握りしめてソファから立ち上がる。
料理教室に行く準備をしないと。今日も頑張るんだ。
先生にはしばらく休んだ方がいいって言われたけど、知ったことか。私は努力しないといけないんだから。
だって、努力したらその分報われるんでしょう？
――頑張って努力して冴や凛みたいになれたら、冴と凛はサッカーより私を見てくれるよね？
「…よし。頑張ろう」
絆創膏をはっていてもジクジクと痛みがするけれど、それを無視して私は料理教室に行く準備をした。
「……サッカー、なんて」
また、言いそうになる。
小さいころに言ってしまってから後悔している。
彼らが全力を注いでいるものを否定する権限など私にはないのだ。逆に私の頑張っているものを誰かに否定される権限もない。
私は鏡の前で無理やり笑顔を作って、「よし」と頷く。
心の中にあるドス黒い感情を隠すように笑った。
そして先程、飲み込んだ言葉を心の中で何度も呟いていく。
�爛汽奪�ーなんて、大嫌い��
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湊(プロフ) - もちうささん» もちうささん、コメントありがとうございます！これからもふたつのルートにご注目ください！ (6月8日 19時) (
レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさ - 凛ルートと凪ルートがありますね！凛君推しなので結婚とか出来なくても事実婚なら出来ますね！ (6月8日 13時) (レス) @page34 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - アルです！\(●°ω°●)/さん» アルです！\(●°ω°●)/さん、コメントありがとうございます！凪は私的にも好きなキャラクターなのでどんどん活躍させていきたいと思っています！ (5月28日 1時) (レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
アルです！\(●°ω°●)/(プロフ) - そういえば糸師兄弟と凪は神奈川県出身だったなぁ…凪登場ありがとうございます！ (5月28日 0時) (レス) @page17 id: f6a6e363df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊 | 作成日時：2023年5月19日 12時
