25.心配される話 ページ27
「Aちゃん、体調はもう大丈夫？」
「はい。もう大丈夫そうです」
「ならよかった！今日も元気に頑張ろうか！」
店長はニコッと笑って、私にオムライスがのっているお皿を渡した。私は店長にぺこりと頭を下げてお客さんの元へと向かう。
「お待たせしました。ご注文のオムライスです」
「…あ、A」
「誠士郎くん。来てくれたんだね。いらっしゃいませ」
そう言って、彼の机にオムライスをおく。彼はおかれたオムライスをじっと見つめていた。
「…ねぇ、仕事嫌になった？」
急にこちらへと視線を移してそう聞いてくる誠士郎くん。
私は、彼の言葉に驚きながらも微笑んで答える。
「嫌じゃないよ。むしろ楽しい。…何でそう思ったの？」
「…この間から、お店いなかったから」
その言葉を聞いて、「あぁ…」と誠士郎くんの言葉の意味が理解出来た。
私が熱を出して休んでいたのを誠士郎くんは知らないから、彼は私が仕事をサボったのかと思ったのだろう。
「実は熱を出していまして。お休みをもらってたの」
「…そうなんだ」
誠士郎くんは、ホッとしたような顔をするとスプーンを持って、それを私に渡してくる。
「…はいはい。仕方ないね」
ここはメイドカフェじゃないんだけどな。
私は彼からスプーンをもらって、それでオムライスをすくう。
「…誠士郎くん。口あけてくれないと食べさせられないんだけど」
「…」
誠士郎くんは、口をバッテンにして私をじっと見つめる。
…相変わらず何考えてるかわかんないや。
「�爐◆爾鶚瓩辰童世辰董�
「え」
突然バッテンしてる口を動かして、誠士郎くんはそう言った。私は「えぇ…」と彼の言葉に驚く。
「…はぁ。もう、1回だけだからね」
ため息をついて、彼の口元にオムライスを運ぶ。
それと同時に――。
「ぁ、あー…ん」
そう言った瞬間、体温が急にグッと上がった気がした。
きっと今の私の頬は真っ赤だろう。
もぐもぐとオムライスを咀嚼して、それをゴックンと飲み込んでから誠士郎くんは口をひらいた。
「…よくできました」
「えらいえらい」と言って、誠士郎くんは私の頭を撫でてくる。なんだかこそばゆくて目を細めてしまう。
誠士郎くんと話してると、日頃の疲れも何もかも吹き飛ばしてくれる気がして安心する。
こういう友達を無くしちゃダメなんだろうな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 272人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
湊(プロフ) - もちうささん» もちうささん、コメントありがとうございます！これからもふたつのルートにご注目ください！ (6月8日 19時) (
レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさ - 凛ルートと凪ルートがありますね！凛君推しなので結婚とか出来なくても事実婚なら出来ますね！ (6月8日 13時) (レス) @page34 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - アルです！\(●°ω°●)/さん» アルです！\(●°ω°●)/さん、コメントありがとうございます！凪は私的にも好きなキャラクターなのでどんどん活躍させていきたいと思っています！ (5月28日 1時) (レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
アルです！\(●°ω°●)/(プロフ) - そういえば糸師兄弟と凪は神奈川県出身だったなぁ…凪登場ありがとうございます！ (5月28日 0時) (レス) @page17 id: f6a6e363df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：湊 | 作成日時：2023年5月19日 12時
