Honest 89 ページ48
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…なんだろう
凄く落ち着く暖かい匂い。
私の知ってる匂い。…安心する。
『___________ん……』
凛月「!…やっと目、覚ました…」
意識がだんだん戻ってきて視界がハッキリしてくる。そこに映るのは自分の部屋の天井ではないどこかの天井と凛月の少し安堵した表情。
『……ここは?』
凛月「救護室。さっきホットミルク貰ったから落ち着いたら飲んで。」
そっか。私助かったのか……よかった。
っていうか『助けてもらった』、か。ちゃんとお礼くらい言わなきゃよね。
布団のおかげで温まった体をゆっくり起こして凛月の方を向く。すると右手に力が込められる。…手、握っててくれたんだ。
『……凛月?』
凛月「…また守れなかった…ごめん。」
視線を下に向けたまま絞り出されたその声は震えている。ごめん、だなんて言わないでよ…。
『…ちゃんと助けに来てくれたじゃない。それにほら、私はもう平気。だから……?!』
ふいに顔を上げた凛月の目からは大粒の涙。それも今まで1度も見た事がないくらいの。
凛月「……もし、もしも俺があの時居場所が分からなかったら?Aを助けられなかったら?大切な人が俺の前からまた消えていく!!!」
次々と溢れてくる涙に構うことなく声を張る。その声が痛いほどに心に刺さる。
凛月「Aまでいなくなったら俺……」
少し幼い凛月が重なって見えた。実際に見たことはないけど、あの時部屋で見た幼少期の写真の。
凛月「……A?」
半衝動的に凛月を抱きしめていた。気づいたら動いてた。こんな時まで何故自分を責め続けるのか。『また消えていく』っていうのはどういう意味なのか。
聞きたいことはたくさんあるけど、そんなこと今はどうだってよかった。
『……ごめんね。ごめん。』
凛月「…なんでAが泣いてるの……」
私のためにここまで必死になって私のためにこんなにぼろぼろ泣いてくれて。
そんな人を心の底ではまだ頼り切れていなかったのかもしれない。
今更気づくなんて遅すぎる。でも今ならハッキリと言える。
ねえ凛月
私ね、あなたにとっくに守られてるのよ。
凛月になら全てを預けても大丈夫。この人しかいない。世界中どこを探してもいない。
こんなにも大好きでなんて言っていいかもう分からないくらい愛おしくて。
だからさ、そんな顔しないでよ。
あんたに泣き顔は似合わない。
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まじっく(プロフ) - 未來さん» うおおお未來さん!フォローまでありがとうございます!!楽しんで頂けてますか!!光栄です☆受験終わったらすぐに帰ってきますので、待っててください!! (2019年8月23日 22時) (レス) id: 46dd36dd9b (このIDを非表示/違反報告)
未來(プロフ) - コメント失礼します。Twitterフォローさせていただきました!未來という名前でやっております。いつも楽しく読ませていただいてます!これからも更新頑張ってください! (2019年8月12日 2時) (レス) id: 7ebd59770b (このIDを非表示/違反報告)
まじっく(プロフ) - 赤間琉斗さん» うおおおありがとうございます!!是非とも書かせて頂きましょう...☆私も終わらせておきながら少し物足りなかったんですよね(´-ω-` ) (2019年7月29日 23時) (レス) id: 46dd36dd9b (このIDを非表示/違反報告)
赤間琉斗(プロフ) - 正直もっと見たいです。付き合った後の話もゆっくりと… (2019年7月29日 22時) (レス) id: dd203c2451 (このIDを非表示/違反報告)
まじっく(プロフ) - 雨紫陽花さん» えっ雨紫陽花さんんんん?!凛月くんの許嫁のお話愛読させて頂いてます!!うあああありがとうございます好きだなんて嬉しすぎる....( ˘ω˘ )頑張ります!! (2019年7月9日 20時) (レス) id: 46dd36dd9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まじっく | 作成日時:2019年7月6日 17時