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横浜の大通りで偶々配られていたチラシについていた橙色の入浴剤をさらさらとお湯に入れてゆく。
柚子の良い香りが浴槽と云わず、風呂場一室に広まる。
『兄さん、お風呂入れますが…。』
「先、入っていいよ。」
遠慮なく、とAは寝間着と下着を持って風呂場へと向かう。
因みに、寝間着は太宰の物だ。仕方がない、買うのは勿体ないから。
身体を洗い、湯船へと身を預ける。
溜息が思わず出てしまうのは自然現象である。それだけ心地良いのだ。
お湯を両手で優しく掬い上げると透き通った橙色に染まっている。
仄かな柚子の香りがまた心地良さを誘う。
兄さんは一体何を考えているのでせう…。
どうやら、人の温もりに飢えているのではないらしい。
久しぶりの兄妹との再会に心が弾んで云っているのかも知れないが、あの兄の事だ。
昔から考えが読めず、 別の世界の人間の様に彼女は感じていた。
その考えは人よりも何歩も先を考えていて、誰もそれを理解できるものはいないだろう。
兄さんは私にどうして欲しいのだろう。
何かのメッセージなのかも知れない、だけど本心なのかも知れない。
幾ら血が繋がって至って分からないものは矢張り分からない。
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時雨(プロフ) - ネムさん» そう言っていただけてめっちゃめちゃ嬉しいです!!!!!!!!!!!このコメントで私もニコニコしちゃいました。嬉しさいっぱいです、こんなに長いのに読了してくださりありがとうございました! (8月6日 2時) (レス) id: b6f643f10a (このIDを非表示/違反報告)
ネム(プロフ) - あぁもう…だめだ。なんか言葉に詰まってしまいます。完結ありがとうございます。最高でした。 (8月1日 1時) (レス) @page41 id: 41eadc19f5 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - ピポポタマスさん» 遅くなって御免なさい。本作中にとても書けず、おまけという形で書かせて頂きました。甘くねぇな…コーヒーシュガーにもなりきれてません…本当にすいません。書き直しならいつでも致します。(双黒なのに太宰さんしか使っていない…ああああ!!) (2018年3月7日 22時) (レス) id: 23b0d452e1 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - きなこもちさん» 有難うございます!満足頂けましたか?とてもの三連続…w次回の作品もいずれ書きますのでその時はよろしくお願いします! (2018年3月4日 19時) (レス) id: 23b0d452e1 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 完結おめでとうございます!とてもとてもとても面白かった…!お疲れ様でした(*´∀`*) (2018年3月4日 19時) (レス) id: 48ae29e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年2月14日 12時