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『手を煩わせて申し訳ありません。』
中原の首に手を回し、身体を彼に預け、重力操作により空を飛びながら彼女は云う。
中原は微笑した。
「手前は何時も完璧過ぎンだよ。偶には迷惑、掛けてもいいンじゃねェか?」
何処か母親のような温かさを感じ、つられてAをも微笑みを取り戻す。
上空から見る横浜は点々と輝きが散らばっている。明るい世界の人間はこの光を見ると嗚呼、夜だ。1日ももう終わる。とそう感じるのであろう。
彼らは違う。月の満ち欠けを眺めながら命を踏み潰す1日を乗り越えるのだ。その生活にもう一度戻ることになるだけ、何も変わらない。いつも通りであるだけ。
「…矢張り、辛いのか?」
どうやら心配した中原はAの顔色を伺うようにそう聞いてきた。
『ええ、まぁ…』
「…クソ太宰もちゃんと兄らしくやってンだな。」
二人とも何を答えて良いのかが分からなくなって沈黙が流れた。折角の機会、何か話せばよいものを無駄にしていき、過ぎた時間を悔やむのが人間なのだ。所詮、そんな物なのだ。
「…A」
『はい、なんでせうか。』
「58年製の葡萄酒があるンだが、一緒に…」
『あと3年お待ち下さい。』
「いいじゃないねェか、別に」
『たった3年ですよ、直ぐにやって来ますから。』
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時雨(プロフ) - ネムさん» そう言っていただけてめっちゃめちゃ嬉しいです!!!!!!!!!!!このコメントで私もニコニコしちゃいました。嬉しさいっぱいです、こんなに長いのに読了してくださりありがとうございました! (8月6日 2時) (レス) id: b6f643f10a (このIDを非表示/違反報告)
ネム(プロフ) - あぁもう…だめだ。なんか言葉に詰まってしまいます。完結ありがとうございます。最高でした。 (8月1日 1時) (レス) @page41 id: 41eadc19f5 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - ピポポタマスさん» 遅くなって御免なさい。本作中にとても書けず、おまけという形で書かせて頂きました。甘くねぇな…コーヒーシュガーにもなりきれてません…本当にすいません。書き直しならいつでも致します。(双黒なのに太宰さんしか使っていない…ああああ!!) (2018年3月7日 22時) (レス) id: 23b0d452e1 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - きなこもちさん» 有難うございます!満足頂けましたか?とてもの三連続…w次回の作品もいずれ書きますのでその時はよろしくお願いします! (2018年3月4日 19時) (レス) id: 23b0d452e1 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 完結おめでとうございます!とてもとてもとても面白かった…!お疲れ様でした(*´∀`*) (2018年3月4日 19時) (レス) id: 48ae29e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年2月14日 12時