兄の様にはとても。【文スト】

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江戸川が大きく丸をつけた場所、其れは町外れの廃工場であった。錆びた壁がなんとも云えない。



「さぁ、行こうか。」



何時もは仕事に消極的な太宰だが、今日に限ってはやけに積極的だ。



これは江戸川の書いたメモ帳が原因だ。其れ以外考えられないし、其れ以外の思い当たる点が一切ない。



スタスタと太宰は廃工場へと足を運ぶ。



「あっ、ちょ！太宰さん！？」



敵も出てくる筈で、正面から打ち当たっては死ななかったとしても怪我無しで帰ってくる、不可能に近いだろう。



「……大丈夫だよ。…見てみなよ。」



太宰の指差す方向をおずおずと中島は見た。



今日は本当に驚かされる事が多い。敵が一網打尽にされていたのだ。



血飛沫が彼方此方へと飛び散り、中には複雑に体が捻じ曲げられているもの、人としての形をしていないもの。



この世の残虐行為をこの場にぎゅっと終結した様な形相であった。



「…誰が‥。」



「ふふ、其れを見つけるのも仕事の一環だ、さぁ見つけようじゃないか。」



太宰は妙に笑っていた。死体を見て笑う程趣味が悪かったかを記憶を辿りつつ疑う。



今日は本当に変だ。

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