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第39話 ページ39

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「表彰があります!生徒の皆さんは…」

あれ、と不二が呟いた。愉快そうな顔は変わらず、綺麗な顔で他のクラスを見渡した。それは菊丸も同じだったようで。


「珍しいな」

「なにが?」


蚊帳の外にいる気分にAは少しだけ納得いかなかった。

何処ぞの名探偵のように淡々と進んでいく不二の腕を掴んだ。私は重い過去を抱えた科学者にはなれなかった。不二は見れば分かる、と言うかのようにAを見て微笑んだ。不二に促されように壇上に視線を移した。


「越前くん」


慣れた手つきで表彰状とトロフィーを受け取る越前の背中に全校生徒からの拍手が湧き上がった。

校長が読み上げた長々とした文章が1ミリも理解出来なかった。ただ分かったことは、越前がこの学園のヒーローだということだけだった。生徒に紛れるAから越前の顔はよく見えなかった。

Aはブレザーのポケットに入れてあるカイロを握りしめた。ほらね、と微笑んだ不二にAは苦笑いを浮かべた。


「珍しいって、何が?」

「あぁ。越前が学校で表彰されてるのは初めてだよ」


手塚が代表して受け取ることはあったけど、と不二は目を細めた。Aはそうなんだ、と答えるしかなかった。正解が分からなかった。

要約すれば、今まで何度も公式戦で受賞経験はあるものの、越前は校内の式典の中で改めて表彰されることを好まなかった、という話であった。

どういう風の吹き回しだ、といった顔をする菊丸に反して心底愉快そうな不二が不気味に思えた。拍手はまだ止みそうになかった。


「青春学園の名を背負った君の活躍に期待していますよ」


顔を見なくとも期限の良さが分かるくらい弾んだ声で話す校長が、越前に右手を差し出した。それに応えるように、小さく頭を下げた越前はその右手を握った。


照明に照らされ、壇上に立った越前は間違いなく青春学園高等部のヒーローだった。


ブレザーのポケットにあるカイロはもう冷めてしまっていた。




私も期待してる。彼の活躍を、飛躍を、これからもずっと。



Aは青春学園高等部の生徒の1人として、越前に拍手を送った。どうせ彼には届かないだろうけど。






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福原(プロフ) - ぱーぷる姫さん» ありがとうございます‪‪❤︎‬ぱーぷる姫さんにそう言っていただけて光栄です( X_X ) (2月24日 1時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 涙が溢れ出ました!あまりに綺麗で切ない表現に何度も読み返しました。ありがとうございました! (2月18日 15時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
福原(プロフ) - 幸絵さん» ご感想ありがとうございます(;_;)またどこかで2人が会える日がくることを願っています、、リョーマ!失恋組!初遭遇です!やはり初恋は実らないものですね、、 (2021年11月10日 9時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
幸絵(プロフ) - 完結おめでとうございます!ついついヒロインの先輩と結ばれて欲しい〜って思ってしまいました。話は変わりますが、『劇場版リョーマ!』私も失恋した気分になりました! (2021年11月10日 6時) (レス) id: 4696a5fece (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:福原 | 作成日時:2021年9月17日 0時

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