___ ダメなこと ページ20
･
次マクヒョンメイク、とドンヒョクのやつに言われて鏡の前に座った。
最初は少し恥ずかしくて気まずかったこのメイク時間も時間が経ってしまえば慣れてしまうもの。
静かに目を閉じて勝手に進んでいくメイク工程に身を任せていれば頭に浮かんだのはやっぱりAちゃんだった。
今、何してるんだろう。大学か。
きっと、あの失恋したチーズケーキのソイツも同じ大学なんだろうな。
まぁ、ソイツのチーズケーキ僕が食べてやったけど。
顔も知らないソイツに心の中で悪態を着いてみる。
もし同じ大学のヤツだとしたら、今僕がこうしてAちゃんのことを考えている間ソイツと顔を合わせているのかもしれないな。
そう思えば、また顔の知らないソイツに黒い感情が沸いてくる。
「どうしたの？」
不意にかけられた言葉にハッとして目を開ければ鏡の中の自分と目が合う。
眉間にシワがよっていた。
「あぁ、すいません。」
笑って誤魔化してまた目を閉じる。
…メイク終わったらAちゃんに電話しよう。
メイクを終えて足早に人のいない静かな控え室にこっそりと入り込んだ。
何度も周りを見渡してから、発信ボタンを押す。
「もしもしAちゃん？」
確かに電話は繋がっているのに返ってこない返事。
少し鼻をすするような、堪えるような声が聞こえてきてまた眉間にシワを寄せてしまう。
「…Aちゃん？」
不安になって、怖くなってもう一度名前を呼べば、
『うん、……どうしたの？』
必死に泣くのを隠している弱々しい小さな声が聞こえる。
もうその声を聞いた瞬間に控え室を飛び出していた。
ヒョン達が僕を不思議そうに目で追っている。
近くにいたマネヒョンも同じように僕を見ているのにも気付かないくらいに、僕は電話越しのAちゃんに必死なっていた。
｢泣いてるの？｣
勘違いかもしれない、そう思って背負おうとしていたリュックを持ち上げる手を止めて聞いてみる。
『ううん、泣いてないよ。』
｢…ホントに？｣
『ホント。……っ、泣いてないよ。』
あぁ、泣いてるんだ。
そう確信がついて、また僕の心が焦り出す。
「今どこにいるの？」
僕は今収録でソウルから離れた所に来ていることに聞いてしまった後に気付いた。
｢僕あと１時間後にはソウルに戻るから。
どこかに待ち合わせしよう？
心配だよ。」
もう周りのことなんて見えずに、僕はそう口走っていた。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 701人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ケロちゃん。(プロフ) - きょんさん» こちらこそありがとうございます🥹嬉しいです߹~߹ (2022年6月11日 22時) (
レス) @page19 id: 6e1f997a93 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - 最高すぎます。もうにやにやとまりません！！こんな物語我得でしかないです！！ありがとうございます (2022年6月11日 15時) (レス) @page19 id: 6d9e8baccd (このIDを非表示/違反報告)
ケロちゃん。(プロフ) - alone99さん» 嬉しいコメントありがとうございます( ⸝⸝⸝ᵕ ̫ ᵕ⸝⸝⸝ ) (2022年6月3日 19時) (レス) id: 6e1f997a93 (このIDを非表示/違反報告)
alone99(プロフ) - もうすでにめちゃめちゃ好きな雰囲気のイマク出てきそうでワクワクです！応援してます！ (2022年6月3日 17時) (レス) @page4 id: 7bd05b70b6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ケロちゃん。 | 作成日時：2022年6月3日 0時
