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完全に戸惑っている彼から携帯だけを受け取った。
｢あのっ、ケーキは？｣
『食べてください。大丈夫、変なもの入ってないですから。』
今笑えてるのかは分からないけれど、涙は自然と止まっていた。
画面に映るミンギュからのメッセージに視線を落とす。
涙が溢れそうなのを堪えて、電源をオフにした。
目の前に立つ彼は、涙を堪える私を見てまた心配そうに眉を下げる。
『ほんとすいません。はは』
何やってんだ自分は。そう思うと恥ずかしくなってきて無理に笑って見せるとブンブンと首を横に振った。
｢これ、貰います！
ありがとうございます！｣
マスクしてても分かるくらいに明るく笑った。
なんだかその笑顔に救われた気がして、心が軽くなってやっと心から笑えた。
笑った私を見て安心したようにふわりと微笑んだ彼。
『それじゃあ』
頭を下げて、来た道を戻る。
もう大学は行かない、こんな日は家で引きこもるに限る。
雨がポツポツと降り出してきて、地面がどんどん色を変えていく。
｢あのっ！！！！！｣
後ろから彼の大きな声が聞こえて振り向くと、パタパタと駆け足で寄ってきて今度は彼の携帯を差し出される。
｢連絡先、教えてください。
…け、ケーキの感想を！伝えたいので、｣
そう言って私よりも深いお辞儀をするものだから、また不覚にも笑ってしまう。
携帯を受け取れば顔をバッとあげてまた分かりやすく嬉しそうに笑う。
『私も今日のお礼させてください。
見苦しい所見せてしまったし、おかげでそのケーキも捨てなくて済んだので。』
彼の携帯に私の電話番号を打って返す。
｢ありがとうございます。
またケーキ食べたら連絡します。
それから、これ使ってください。
それじゃあ！｣
ガサゴソとリュックから折り畳み傘を出して、半ば強引に折り畳み傘を渡された。
『い、いや、それじゃあ貴方が濡れちゃう！』
返そうと手を伸ばすと優しくその手を止められた。
｢風邪引きますよ。じゃあ。｣
そう言って私とは反対方向に走って消えっていく。
ただ、その彼の後ろ姿を見えなくなるまで見ていた。
せっかく傘を貸してもらったのにびちょ濡れだ。
傘をさして、家に帰る。
なんだか不思議なことにもう悲しくなかった。辛くなかった。
なんだか素敵な出会いをしてしまった。
黒の折り畳み傘を見て、無意識に頬が緩む。
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ケロちゃん。(プロフ) - きょんさん» こちらこそありがとうございます🥹嬉しいです߹~߹ (2022年6月11日 22時) (
レス) @page19 id: 6e1f997a93 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - 最高すぎます。もうにやにやとまりません！！こんな物語我得でしかないです！！ありがとうございます (2022年6月11日 15時) (レス) @page19 id: 6d9e8baccd (このIDを非表示/違反報告)
ケロちゃん。(プロフ) - alone99さん» 嬉しいコメントありがとうございます( ⸝⸝⸝ᵕ ̫ ᵕ⸝⸝⸝ ) (2022年6月3日 19時) (レス) id: 6e1f997a93 (このIDを非表示/違反報告)
alone99(プロフ) - もうすでにめちゃめちゃ好きな雰囲気のイマク出てきそうでワクワクです！応援してます！ (2022年6月3日 17時) (レス) @page4 id: 7bd05b70b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ケロちゃん。 | 作成日時：2022年6月3日 0時
