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加藤くんとろくに話もできない状態のまま、文化祭の準備期間に突入した。
私達のクラスは、よくある「男女逆転メイド喫茶」に決まった。
「男子の制服、高橋ちゃんが中心になって女子が作ってくれたから、ちゃんとお礼言って受け取ってね!お願いします!」
小山くんの声に、クラスのみんながワッと盛り上がる。
代表して、数人の女の子が小山くんの横に立って、順番に男の子達に制服を配る。
「加藤くん、ハイ」
「ありがと、作ってくれて」
「ううん、加藤くん似合いそうだね」
「どうかな(笑)」
私はそんなやりとりを、席替えで決まった教室の一番前の席で黙って聞いている。
私と真由以外の女の子とそんな風に笑って話すとこ、初めて見た。
嫉妬深いなんて言われたって仕方ないじゃないか。
だって、いつメンだと思ってたんだから。
最近は、加藤くんは席が一番後ろだからか私を避けてるのか、後ろの扉から教室に入るし、そのせいで恒例になっていた毎日の挨拶だってしてないし、プリントを回す時に振り返って目を合わせてくれる機会もない。
いつのまにか真由と2人でいることが増えて、たまに小山くんも合流する、みたいな、よく分からない生活が続いていた。
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〈Aはいいの?このままで〉
『え?』
その日の夜、突然真由から電話がかかってきた。
『このままって、』
〈加藤くんと。ずっと話してないじゃん?〉
『うーん…』
〈せっかくの文化祭も楽しめなくなっちゃうよ?〉
『そうだけど…』
〈私も頑張るからさ、Aも頑張ろ?〉
『え?真由も?』
“なんか、言いづらいんだけど” と、真由は口ごもる。
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〈小山くんから告白されたの〉
『えっ!!』
知らぬ間に……
行動がはやい…!!
『それでどうするの…?!』
〈え、もちろん振るけど…〉
『ええ?!?!』
〈だって、私は…〉
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ああ、そうだ。
この子は、二宮先生のことが好きなんだ。
しかも、本気だ。
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『そっか、そうだった…そうだよね』
みんなそれぞれ勇気を出して行動を起こしたり、起こそうとしているのに。
私は何もしないで、何を怖がっているのだろうか。
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鈴木カルロス三郎太(プロフ) - ゆっちゃんさん» えええありがとうございます(;o;)更新遅くなりましたが地道に続けていくのでよろしくお願いします。 (2018年9月19日 15時) (レス) id: 1320e2bf1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - これ読んでるとなんか幸せな気持ちになりますww この作品好きです(о´∀`о)応援してます! (2018年8月25日 1時) (レス) id: f0e7248429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴木カルロス三郎太 | 作成日時:2018年8月20日 22時