【ttg】透明なうた (ページ6)

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1-4／side Emma. ページ6

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結局朝方まで続いた歓迎会も過ぎ、時刻は午前10時。

まだ寝ている人達は、エミリーとお酒が酔いが覚めた人達に任している。

対して私はAの荘園案内を任されていた。

案内人の私でも迷ってしまいそうなほど広いこの荘園は、本当に不思議な所だわ。

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内部の案内は粗方終わり、次は屋外や屋内施設の案内へと移る。

「さあ、ここがお庭よ！基本エマはここに居るの。」

「まあ、美しいですね。これらは全てエマさんがお手入れを？」

「えぇ！私が育てた自慢の花が沢山あるのよ！」

この庭は、私が管理している旨を伝えると、彼女はまた微笑を浮かべた。

やっぱり、彼女は本心から笑っていないみたい。
笑っていても、イライさんの様に目は隠せていない。表情は虚ろげだ。

このまま彼女を笑わせてあげることは出来ないままなのか、悔しくて下を見下ろすと、ある花が目に止まった。

「ねぇ、この花をあげるわ！」

「これは……何という花ですか？」

「ミムラスよ。可愛いでしょ？」

ユニークで小ぶりな形をした黄色い花。
モンキーフラワーとも呼ばれている、ミムラス。

「私、貴方とたっくさん、お話したいわ。
そして笑顔で。」

「そうですか？私の話はつまならいですし、耳を傾けるだけ無駄…」
「貴方からの話、聞いた事ないの。
つまらないかどうかは、貴方が判断する事じゃないのよ。
……ねえ、好きなものは、ある？」

つい割って入ってしまった。

貴方は無駄なんかじゃない。
そして貴方は人。ロボットでも人形でもない、意志を持つ、人そのもの。
誰だって、笑顔になれる。

そう、伝えたい。

「無い、です。」

「……そうなの。ごめんなさい。」

けど、
そう言ってAさんは続けたわ。

「好きとはまた、違うかもしれませんが、
私は喜怒哀楽がわからない。どうやって表現すればいいのか。
人は自分に足りないものを他人で補います。そして自分に足り無いものを持つ人に憧れを持ちやすい。
私も恐らくそれに該当している。
だから、貴方のような人は、たぶん、私の憧れ……かもしれないです。」

私は嬉しくて、嬉しくて。彼女に飛びかかった。