1-2/side Emily. ページ4
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主役が訪れ、いよいよ歓迎会が始まった。
まずは各自自己紹介から始めるのだけれど、彼女は矢先に言い始めた。
「はじめまして、私は詩人のA・ヴァレンタインです。」
何処かで聞いた事ある名前……
そう考えていると、ある一人の人物が声を上げた。
「え、お前があの詩人なの?
……ふぅん、噂には上流階級出身らしいけど、随分と貧相な格好をしているね。」
「ちょっと、失礼よ!」
エドガー・ワルデン。芸術において天才的なセンスを持つ彼の高飛車な性格には手を焼いてしまう。
いつもこんな無礼な質問をしているのか、良いとこ育ちのお坊ちゃまとは思えない。
「あら、私の事をご存知でしたか、嬉しく思います。
……ということは私の詩集をご購入頂けましたかね?ふふ、ありがとうございます。
そうですね、上流階級出身ではありますが事情により育ちは中流、もしくは貧民……と言っても過言では無いでしょう。」
長々と語る彼女に彼は圧倒されている。
「…お前、気味が悪い。」
「そうですかね?」
エドガーさんに苛立ちもせず、上手く彼女は返した。
寧ろ微かに笑みを浮かべている彼女。
……何だかこの人は恐ろしそうだわ。
エマが怖がってないかしら、
そう横を向いたらエマは俯いていた。
「エマ?」
「よし、決めたわ。」
「エマ、どうしたの?」
「あのね、Aさん。エマが今から貴方に魔法をかけてあげるの!」
エマはAさんの手を掴んで、大きく笑った。
随分とぶっ飛んだ展開に、周りは唖然としているもの、可笑しくて笑っているもの、色々といた。
「……魔法、ですか。随分と非科学的なものですね。」
「魔法の類には根拠なんていらないわ。だからこそ魔法でしょう?」
「確かに。では何の魔法を?どんな効果が得られるでしょうか?」
「それはね、笑顔の魔法なの!
貴方、可愛いのに人形みたいな笑い方で勿体無いわ。」
「それは褒めているのでしょうか、貶しているのでしょうか?」
「うーん、どちらもなの!
兎に角、貴方はもっと素敵に笑えるはずよ!」
エマは彼女の頬を掴み、口角を上げた。
そんな微笑ましい光景に、私は頬を緩めた。
「そうね。貴方は何かが足りない。どこか未完成に感じるの。けれど、心から笑ってみたら、何か変われるんじゃない?」
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私ワールド展☆開
いきなりぶっ飛びすぎぃ!!
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作者名:再生 | 作成日時:2021年11月26日 10時