【荒木荘】この日常が好きなのだ！ (ページ18)

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A『岸部先生～第2美術室の鍵貸してくれません？』

露伴「何故だ、わすれものか？」

A『いや、ちょいと資料が欲しくて。』

露伴「なら僕も一緒に行こう。」

A『おっ、ありがとうございます～！！』

in第2美術室

A『おっし、資料資料っと……』

露伴「早くしろよ。僕は長いこと待つのはあまり好まない。」

A『わあごめんごめん！見つかったから早く戻ろ！』

露伴「……」

A『はい！もう閉めていいよ！教室出たし！……せんせ？』

露伴「はっ……あっ、いや、なんでもない。閉めるぞ。」

A『？はい！』

露伴「……いや、やはり待て。」

A『もー、なんすか＿＿＿＿』

一瞬だった。

それは本当に一瞬だった。

Aの目を見る岸辺露伴の目は一瞬で人が変わったのかとでも言うように、キリッとしたいつもの彼とは違うような、真面目で真剣な目をしていた。

露伴「A、僕だって分かってはいる。分かってはいるんだ。だが、やはり…僕も男だ。
やるべき事は必ずややり遂げる。
だからこそ、僕は君に想いを伝えようと思うんだ。」

岸辺露伴は考えた。
悩みに悩んだ。
だがしかし、これしか答えが出なかった。
岸辺露伴はこのギャグ要素があるという小説を裏切り、心をそのまま彼女に伝えると決めた。

露伴「この岸辺露伴。君の事をこころから＿＿」

「おや、随分遅いと思えば話し合いでもしていたのですか？」

露伴「花京院典明……！」

その声の正体は、花京院典明。
この小説の花京院典明は実に邪魔しかしないが唯一のAの相談相手で信頼できる相手であり、この小説の邪魔しかしない人物である。
おのれ花京院。

花京院「酷いじゃあないですか、僕のAを独り占めしないでくださいよ。
ほらA、資料を取ったのなら早く絵を完成させましょう。手伝いますよ。」

A『う、うん！』

露伴「チッ……」

A『岸部せんせ！何言おうとしたのかわかんないけど、今度また聞くね！』

露伴「……ああ。」

おのれ花京院典明。
岸辺露伴はその言葉しか今は出てこなかった。