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なんて言えばいいのか分からなかった。
「...尊敬する先輩です」
ぱっと出てきたのは、当たり障りもないような無難な答え。
彼氏です、だなんて口が裂けても言えなかった。
自信がなかったんだ。私にも、2人の関係にも。
テヒョンオッパは私のその言葉を聞くと、そうじゃなくて、と眉をひそめた。
「付き合ってるんでしょ。ごめん、気付いてて聞いた」
「...そうですか」
「本人から聞いたわけじゃないよ。俺が勝手にそうなのかなぁって思ってただけだし、ホビヒョンそういうことする人じゃないから」
それは私も分かってる。現に、オッパはお忍びということを律儀に守ってくれている。
それが少し、いやかなり寂しく感じてるのもきっと私だけ。
「なんで付き合ってるの?」
「なんでって...」
好きだから、私が。私が一方的に貪欲になってしまって、ブレーキが効かないまま突き進んでしまったから。
後戻りが出来ないだけ。愛が返ってこないのも全部分かってて、それでも別れを告げる勇気が出ないだけ。
「辛くないの?」
辛いですよ、そりゃあ。
私だってそろそろ潮時だって思ってたんだから。
それでもあと一歩がどうしても踏み出せなくて、結局ずるずると期限を先延ばしにしてしまっている。
「そんなの、別れればいいじゃん」
「っ、簡単に言わないで下さいよ。オッパにもきっと事情があって、それできっと私の我儘を聞いてくれてるんです。オッパなりに、私に向き合ってくれてるんです。...私から言い出した我儘を、私から切り捨てるなんて、それこそ身勝手じゃないですか」
気づいたら、目から涙が零れ落ちていた。
「本当は...分かってるのに、」
早くオッパを自由にさせるべきだと分かってる。オッパはソユンと愛を育むべきだなんて、そんなこと分かってる。
...全部、分かってるんだ。
「キッカケさえあれば...」
事務所側にバレて別れなさいって強制される方がまだ幸せだ。それをオッパは律儀に秘密厳守してくれているから、2人だけの秘密が色濃くなっていって消せなくなる。
「...もう、やめたいです」
複雑に絡み合った糸は、気付いた時には自分の力では解けなくなってしまっていた。
プツリと糸が切れたように泣き出す私を、複雑そうな表情で見つめていたテヒョンオッパ。
「キッカケなら、ここにあるじゃん」
「...え?」
「いつになったら見てくれるの」
抱き寄せられた時に香った彼の匂いが、昔と重なる。
「俺の事見て。俺のことキッカケにして」
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てこゆの(プロフ) - izu^^さん» 一日で!笑一気読みありがとうございます、、笑笑こちらこそ読んでいただけて嬉しいです!^^ (2020年12月2日 19時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
izu^^(プロフ) - 偶然この作品に出会ったのですが、楽しくて1日で6まで読んでしまいました!!素敵な作品ありがとうございます!! (2020年12月1日 17時) (レス) id: 6a22bceaf6 (このIDを非表示/違反報告)
てこゆの(プロフ) - b_sr_mさん» えぇ!い、1番ですか...!?笑光栄ですありがとうございます(TT)(TT)励みになります〜!更新頑張ります!!!! (2020年11月29日 23時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
b_sr_m(プロフ) - 占ツクで1番好きと言っても過言ではないくらい好きでいつも読ませてもらってます!更新頑張ってください! (2020年11月29日 22時) (レス) id: 642656ffac (このIDを非表示/違反報告)
てこゆの(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます〜!!えぇ!とっても嬉しいです、、、!更新頑張ります!!ありがとうございます〜! (2020年11月23日 9時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:key | 作成日時:2020年11月2日 21時