好きだから仕方ない

頼み事 in×ym ページ3

Yamada side







「やまだぁ？」







気の抜けるような声で俺を呼ぶのは伊野ちゃん




多分大した用はないだろう




俺は携帯とにらめっこしながら話を聞く







「なにー」







「あのさ、お願い聞いてくれる？」







「ん、いいよ」







じゃあこっち見てと言われて



無理矢理伊野ちゃんの方を向かされる







「え、ちょっと、」







「やっと山田と目が合ったー笑」







今日の伊野ちゃんはよくわからない




俺を呼ぶ前も隣で可愛いねとか言うし



ていうか、俺の隣に座ることがおかしかった




普段なら知念とか大ちゃんのとこに行くのに



なんで俺？







「お願い…言っていい？」







「え、？…あ、うん」







あまりに真剣な顔で言おうとするから、



こっちも思わず構える







「キスさせて」







なんだ、キスか…







…、って、キス！？







「キキキ、キスって、え、！



あぁ〜、お、お魚さんかなぁ、？」







「ぷっ、違うよ、笑」







“ こっちのキスだよ ”







頬に何かが触れるのと



同時にちゅっ、と音が聞こえる




一瞬、何が起こったのか分からなくなった




だけど、確かに頬に唇らしき感触が残っていて、







「こ、これが、伊野ちゃんのお願い、？」







恐る恐る聞くと、







「ほんとはここにしたい」







俺の唇に伊野ちゃんの指が触れる




恥ずかしくて、目を瞑った




それが合図になったのか、







「ねぇ、しちゃうよ…？」







そんな甘い声が聞こえて、



伊野ちゃんの吐息がかかる







「山田、好き…」







もぅ、、伊野ちゃん、ずるいよ、







賑やかな楽屋で



静かにリップ音を奏でた






end

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