隠された恋〈赤〉 (ページ6)

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「…そーいえば、ふたりっきりで会話するの初めてやな」

そっか。いつもAをはさんで喋ってるんだ

「そーだね」

「上村さん、Aと仲いいよな」

「うん！…でも大毅くんの方がAと仲いいじゃん！｣

「そ、そか？笑」

少しひきつった笑みを浮かべる大毅くん

私、なんか変なこと言ったかな…

「ごめんね！」

「え？なんで謝るん？」

「いや、仲良いとか言われるの嫌なのかなって」

「いや、そんなんちゃうで、俺は。。まぁ、妹みたいなもんやからなぁ…なかようしてやってな！｣

歯をキリッと見せてはにかむ笑顔に少しドキッとする

．

「上村ーー、お前この書類職員室まで持ってってくれねーか？」

名前を呼ばれ振り向くと先生にまた頼み事をされる

なんで私が？

そー思ったけど、くちにはださない。
だせない。

昔から自分の意見を言うのはどちらかというと苦手だ

「あ、はい…」

「じゃ、よろしく」

そう言い片手をあげ小走りで走っていく先生

あー、せっかくここまできたのに
また、職員室まで引き返さないと…

「上村さんはお人好しやな…いや、お人好しすぎる！いやなことはいややて言わな！」

軽く説教をしているのかわからないけど、顔が結構怖い…

「…ご、ごめんなさい。」

「謝まることでもないけど」

「ほな、これは俺が持ってくわ、上村さんは職員室にそれ持ってって｣

「あ、うん、」

「じゃ！」

「ありがと！」

私に背を向けて歩いて行く大毅くんに
声をかけると

「おう！」

少し離れたところで振り返りさっきの怒った顔とちがうはにかんだ笑顔をみせてくれた

いままでAにちょっかいをだしてる大毅くんしか知らなくて幼い人なのかと思っていたけど、そんなこと全然なくってとても優しい人だった

なんて、大毅くんの後ろ姿を見ながら思う

「暑い…」

さっきの笑顔を思い出してにやける顔を書類で隠している自分がいる

「大毅くん尊い…」