無一郎くん夢小説あるある【短編集】 (ページ5)

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何故か布団が一枚しかないページ5

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『時透。一応、私たちは男女だよね。これはどういうことだろう。』

霞柱との合同任務明け、藤の家紋の屋敷で一泊させて頂くことになったが、これは誠に遺憾である。

オフトゥンが一枚しかないである。

「僕は別にいいけど。寒い夜に裸でお互いの体温を分け合って寝るのは、生存本能からくる正しい行動だよ。」

『いや、裸で寝ないし。あんたの方が柱になったの後なんだから、床で寝てよ。』

「やだよ。僕、言いふらすよ？雪柱は後輩を労ってもくれない冷酷な女だから鬼と同じ扱いしようって。」

『は？頸斬られるじゃん私。あーもう、とりあえず湯あみしてくる。』

くすっと妖艶に笑うこの少年の思惑が、どうも掴めない。

＊＊＊

「で、どうする？」

『あのさ、歩み寄りや思いやりって知ってる？』

「その言葉、そのまま返すね。」

お風呂からあがると、ちょうど出てきた彼が、未だ意地悪く笑みを湛えて、私の言質をとろうとしてくる。

無条件に布団を譲る気など毛頭ないようだ。

「じゃあ、こうしよう。僕が床で寝る代わりに、僕のほうを一晩中見て寝てよ。」

『はい？何がお望み？』

「一緒に寝るより簡単でしょ。」

そう言うと、私の背中を押して、強引に布団へと追いやり、自分はその傍らの畳に寝そべって、じっとこちらを見つめてくる。

「あーあ、Aさんはあったかそうだね。あーあ、寒いなあ〜、僕、ぶるぶる震えちゃってかわいそうだなあ〜。」

『……姑息な手口だなあ。私の羽織り使っていいよ。』

羽織りをかけてあげて布団に戻るも、何度も情に訴えかける時透の精神攻撃の末、結局私が根負けし、一つの布団に二人背中合わせに寝ころぶという不可思議な状況になった。

…してやられた。
はなから私が折れるのを知っての魂胆だったのだろう。

狭い布団の中なので、もそもそと時透がこちらに身体を向けたのだって、すぐに気が付いた。

→つづく