急な設定湧きまくって焦る ページ21
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双子がなにやら壮大な話をしているけど…その眼差しは真剣そのもの。
頭が追いつかないけど、冗談を言っているようには見えなかった。
***
「それで、僕の体質なんだけど。気になるよね?」
『うん、命に関わるっていうのも…』
「じゃあ、兄さん、Aに見せてくるよ。」
そう言ってまた私の手をぐいぐいと引いて、無一郎くんの自室であろう部屋に。
透きとおるレースカーテンから夕焼けの光が差して、無一郎くんの影が赤黒く部屋に伸びていて、なんだか怖くって怯んでしまう。
「…あのね、例えば、」
徐に無一郎くんが強く手を引いて、だんっ!と、あっという間に押し倒されて、私の両手をベッドに縫い付けた。
どっどっと胸が鳴って、覆い被さる無一郎くんを見上げる。
『なに!?こわい…!』
「…ね、怖いよね。でもAは隙がありすぎると思う。こんなに簡単に服も脱がされちゃってるし。(ぷち…ぷち♡)」
『…んっ…!』
私の制服のシャツのボタンが、無一郎くんの片手でふたつ、みっつ、上から順番に開けられていく。
すごく力が強いけど、少し身体を捩れば無一郎くんはすぐに固定していた私の両手を離してくれて…拍子抜けた。
「…ごめん。例えば、こんなふうに無理矢理にAの身体だけ貰えば、僕は晴れてふつうの人間になれるんだけど…そんなことしたくない。Aのこと大事にしたいから、告白したんだよ。」
『……びっくりしたよ…怖かった…』
ボタンを留めてくれようとして眉を下げて笑う無一郎くんは、いつもの優しい眼を細めている。
ほっと胸を撫で下ろして自分で服を整えた。
たった今の強引な姿が嘘のようだ。
「だからさ、Aの恋心を僕にちょうだい?」
体を起こした無一郎くんは、こてんと首を傾けて、ね?とあざといお顔を向けてくる。
→つづく
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作者名:まちゃむん | 作成日時:2023年11月21日 19時