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「わりぃ、待った?」

「大丈夫だよ。お疲れさま」




試合後、二口くんは先輩方とわたしを驚いた様子で見比べて、なんだか複雑な表情をしていた。
隣で怒鳴る先輩に吃驚しながらも、彼らにしっかりと拍手を送れたと思う。

それから、すぐ連絡があったのだ。先輩方へ挨拶をするからすこし待っていてほしい、でも、あまり時間は取れないかもしれない、と。




「あの、初めてあんなに近くで試合観たし、その、レベルとか、あんまり詳しくないから、よく分からないんだけど」

「ああ」

「相手のマッチポイントのときの、二口くんのスパイク、すごい、かっこよかった」




まだ、試合の高揚感が抜けない。
ひとつひとつ噛みしめるように言葉を紡ぐ。




「それで、よかったら、また呼んでほしい」

「おう。俺らが全国行く瞬間、見せてやるから」

「だから、その……」




顔が紅くなって、俯きかける。いけない、二口くんは、いつも目を見て言ってくれるのに。

恥ずかしいこととか、言うの慣れてないんだけれど。

深呼吸をしてから、彼の色素の薄い瞳を見つめた。
ユニフォーム姿の彼は、いつもと雰囲気が違って余計に心拍数を上げる。




「それまで、好きでいて、ほしい……です」




二口くんは目を見開いてから手の甲で口元を覆い、目を逸らす。
その行為が、照れたときにすることをわたしはもう知っていた。




「……あんま、戻りたくなくなるようなこと言うなよ」




*




「あ?二口どうした」

「あー……二口なら、多分白石さんのとこじゃないっすか?」




すぐに戻ると部員の元を離れた二口の行方を探す三年。後輩に問えば出てきた名前に疑問符を浮かべた。

そんな中、思い当たる人物がいるのか茂庭はあっ、と声を上げる。




「応援に来てた女子生徒、のことか?」

「あの女子二口の彼女かよ!」

「女子が応援に来るなんて珍しいと思ったよ……。しかも学校終わりに」

「いや、正確に言えば彼女じゃなくて……」




事情を知っている部員が話せば、漫画かよ、のツッコミが入る。

こちらへ向かってくる二口が今までにないくらいいじられるまで、あと七秒といったところだ。




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(プロフ) - あんみつさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです……!こちらまだ単行本未収録でしたか!申し訳ないです。注意書き追加しておきます。 (2020年3月1日 9時) (レス) id: 08804b505e (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白くて更新凄い楽しみにしてました!!すごいキュンキュンさせられてました!最後の方に本誌ネタがあるんですが多分単行本派の方もいらっしゃると思うので本誌ネタ注意と書いておいた方が良いかと…… (2020年3月1日 8時) (レス) id: 86e8f7f917 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 橘さん» コメントありがとうございます!私の書く二口くんにときめいてくださっているのなら嬉しい限りです! (2020年3月1日 2時) (レス) id: 08804b505e (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白く二口くんにキュンキュンさせられてますww (2020年2月9日 19時) (レス) id: a7677655c7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - アヤミさん» コメントありがとうございます!少女漫画のイケメンような二口くんを書きたいと思い作成したので、そう言っていただけて本当に嬉しい限りです!応援ありがとうございます、これからもこの作品を宜しくお願い致します。 (2020年1月16日 22時) (レス) id: 08804b505e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月13日 19時

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