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「……っていうことがあったんですよ。でも、その後会っても宮前くんはいつも通りでした」
「聞こえなかったんじゃないですか?」
秋山先生の非常にごもっともな意見に、ぐうの音も出ない。確かに、言われてしまえばそうかもしれない。
けれど何だか、やっぱり腑に落ちなくて……つい打ち合わせの前に、先生に聞いてしまうくらいには。
「室橋さんって、宮前さんと同期でしたよね」
「歳は同じですね。彼の方が二年後輩ですけど」
「あ、そうだったんですか?」
意外そうに目を瞬く彼女に、「同期に見えましたか?」と聞くと申し訳なさそうに眉を下げられた。
「すみません……引き継ぎの時に見た感じだと、親しそうだったので」
「親しい……それ宮前くんには黙っててくださいね」
「え? 何でですか?」
「益々避けられそうな気がするので」
自覚あるんですか……。呟く先生をスルーしてネームの催促をすると、彼女はてきぱきと机の上に資料を並べた。プロットとキャラデザ、設定。
私には、いつでもそれがキラキラしたものに見える。
「タイトルは仮ですが、『魔法つかい見習いと紅の後継』です。べに、はくれないの紅です」
「はい」
「これが主人公で……すいません、張り切ってカラーつけちゃいました」
「全然いいですよ」
主人公の女の子。
一見して14〜15歳くらいだろうか、濃紺のマントとワンピース、そして魔女のトレードマーク・三角帽子がよく似合っている。
続いてプロットを拝見する。ざっと見た流れ、要約するとこうだ。
魔法つかい見習いのAは、迷い込んだ森で古びた屋敷を見つける。
興味本意で中に忍び込むが、薄暗く埃が舞う始末。それでも進む中、不意に押してしまった扉が音を立てて外れ、そして割れて壊れてしまった。
慌てるAの前に現れたのは、真紅のドレスを身に纏った初老の女性だった。彼女に怒られたAは、「ごめんなさい。代わりに何でもやります」と口走ってしまう。
女性は『紅の後継者』と呼ばれる魔女だった。そしてAに言う。
「何でもやると言ったね。じゃあひとつ、"紅"を探すのを手伝ってくれないか――」
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 怒らないで委員会会長mAKAさん» 私なんぞが剣さんなんて恐れ多いです……!位置的にはパラスコ星人くらいで充分ですよ。……前野さんに投げたら逆に喜ばれちゃうので、ダメージは与えられそうにないですね……。 (2016年3月18日 21時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - スマトラ島のラフレシアさん» レスありがとうございます!!いや、なんというか作者様って野崎くんにとっての宮前さんみたいな感じなんだなーとしみじみ思ってます。あ、タヌキ拾ってくれてありがとうございました。前野にでも投げときましょう。← (2016年3月18日 18時) (レス) id: bd598a3311 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - お久しぶりですー!!と、とりあえずタヌキは私がキャッチしておきました(使命感)。小田先生、気付いて頂けたようで嬉しいです!よかった!マイペースですが、よいものをお届けできるよう精進して参ります!! (2016年3月11日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - 新作…!!あ、もう目からタヌキが。内容も流石です!!前作のキャラ(小田先生)もからめてきてて最高です!!ゆっくり頑張ってください!! (2016年3月11日 1時) (レス) id: bd598a3311 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア - 浪越りいさん» 大変お待たせ致しました……!!すみません。ありがとうございます。私も大好きです。あんまり縛らずに自由且つのんびり進めますので、よろしくお願いしますー! (2016年1月24日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年1月23日 18時