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第4号 キセキの呪文、準備OK-1 ページ23

*



「あ、Aちゃーん」

「はい?」


通り過ぎようとしたところで名前を呼ばれて、一メートル程後ろに戻る。名前を呼んだのは先輩だった。

ダンボールを抱えたままぽかんとしていると、先輩は開いたダンボールの蓋の隙間から中身を覗こうとしながら言う。


「編集長にはたぶんいい顔されないと思うんだけどね、でも私は言っておきたくて」

「はあ……」

「あのね、Aちゃん」


彼女はにっこりと笑うと、ぽん、とダンボールの蓋に手を置いた。


「今度の異動のことなんだけどね」


その声を聞きながら、ぼんやりと思い出した。

――ああ、そうか。


もうそろそろ、そんな時期なんだ。



*



「編集部ももうすぐ異動の時期なんですよ」


打ち合わせがだいたい終わった後に、ぽつりと言う。が、秋山先生の返事はない。

怪訝に思いながら顔を上げると、先生は青ざめた顔でぶるぶる震えていた。


「……秋山先生?」

「あ、あの、室橋さ、それってつまり」

「え? つまり、何ですか?」

「ああ、いえ」


先生は胸に手を当てて深呼吸。何か心臓に悪いことでも言ったっけ。

不思議に思いつつ待っていれば、変わらず震える声で秋山先生は言った。


「私、嫌ですよ」

「はい?」

「ずっと室橋さんと作品作っていたいです。できることなら、私が連載を持つまで、そしてそれからも」

「あ、あの、秋山先生?」

「室橋さんのことですから私の一存ではとか言うんでしょう。なら編集長に直談判してきますこの私が勇気を振り絞っ」

「秋山先生!」


言葉を途中で遮られた先生は、深刻な表情から急にポカンとする。

どうやら先生はひどい勘違いをしているようだ。


「あの、先生。勘違いです。私は何も、室橋Aは異動になりますって言いたいわけじゃありませんし、そんな事実もありません」

「……え? そうなんですか?」

「そうです。逆にどうしてそんな風に勘違いを」

「あ、いえ、てっきり前フリかなんかだと……」

「…………」


秋山先生ならそう考えても変ではない、か……。


出版社という会社の中だから、勿論部署異動はある。私だって、最初の一年はファッション雑誌の仕事をしていたのだから。


勘違いだなあ、と思うのと同時に、勘違いでも秋山先生がそう言ってくださったのが嬉しかった。


「秋山先生」

「はいっ」

「二人で連載、作りましょうね」


秋山先生は一瞬驚いた後、すぐに「はい!」と思いきり頷いた。



*

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設定タグ:月刊少女野崎くん , 宮前剣 , 編集部   
作品ジャンル:アニメ
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 怒らないで委員会会長mAKAさん» 私なんぞが剣さんなんて恐れ多いです……!位置的にはパラスコ星人くらいで充分ですよ。……前野さんに投げたら逆に喜ばれちゃうので、ダメージは与えられそうにないですね……。 (2016年3月18日 21時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - スマトラ島のラフレシアさん» レスありがとうございます!!いや、なんというか作者様って野崎くんにとっての宮前さんみたいな感じなんだなーとしみじみ思ってます。あ、タヌキ拾ってくれてありがとうございました。前野にでも投げときましょう。← (2016年3月18日 18時) (レス) id: bd598a3311 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - お久しぶりですー!!と、とりあえずタヌキは私がキャッチしておきました(使命感)。小田先生、気付いて頂けたようで嬉しいです!よかった!マイペースですが、よいものをお届けできるよう精進して参ります!! (2016年3月11日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - 新作…!!あ、もう目からタヌキが。内容も流石です!!前作のキャラ(小田先生)もからめてきてて最高です!!ゆっくり頑張ってください!! (2016年3月11日 1時) (レス) id: bd598a3311 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア - 浪越りいさん» 大変お待たせ致しました……!!すみません。ありがとうございます。私も大好きです。あんまり縛らずに自由且つのんびり進めますので、よろしくお願いしますー! (2016年1月24日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年1月23日 18時

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