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「でさあ、どうしたらいいと思う? 宮前くん」
「俺に聞かないで下さい」
隣の机で仕事をする宮前くんに尋ねると、案の定バッサリ斬られた。でもいつものことだ。
彼、宮前剣くんは同い年だけど2つ後輩にあたる。どうやら大学を浪人したらしい。
でも私が出た所よりずっと難関だから、多分彼の方が先輩なんじゃないの?
彼は優秀だ。だって秋山先生も宮前くんからの引き継ぎだからね。
「秋山先生も頑張ってくれてはいるんだけどねえ。なかなかうまくはいかないもんよね」
「恋愛描写苦手ですからね」
「わかってんじゃん!! 秋山先生って、宮前くんから引き継いだから、最初すっごい期待されててさー、ホンット宮前くんいい編集者だよねー」
「そんなこと言ってる間にさっさと仕事してください」
「いやごめん」
話をしつつもちゃんと仕事はする宮前くん、流石である。私も仕事しなきゃ。
ふと自分の机のネームが目に留まった。秋山先生から、以前までに貰ったネームだ。
今回のネームをその上に放り投げて、はああとまたため息をつく。
漫画のことがうまくいかないと、責任を感じて負い目になる。
どうすればいいんだろうか。
「んー悩めない!! 休憩してくる!!」
「室橋さーん、小田先生からお電話です」
「タイミング悪っ」
それでも受け取らないわけにもいかないので、とりあえず電話を繋いで話を聞く。
内容は結構どうでもよかった。
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「あっれーAさん、そっちも休憩?」
「何だ前野くんか」
コーヒーを注ぎに来たら、何だかお洒落なカップ片手に寛いでいる前野くんがいた。
「浮かない顔してるね?」
「あー……ちょっと色々あってね」
「誰か怒らせちゃった?」
「君とは違うんだから」
あはははと軽快に笑う前野くん。多分何かの冗談だと思っているのだろう。
前野くんは時たま、いや日常的に人を怒らせたりイラつかせたり迷惑かけたりする。それでも世渡り上手なようで、会社でも合コンでもうまくやっている。
なんでも、宮前くんとは高校の同級生だとか。
ちなみに私は特に同級生でもなく、入社したら同じ部署になった同僚ってだけだ。
そんな前野くんだけど、私は不思議と、それほど彼にイラついたりはしない。
「ところで前野くん、君の姿あまり見かけなかったけどいつからここにいるの?」
「えー? 一時間くらいかなあ」
「今すぐ戻りなさい」
私は編集部のため(と自分のため)を思い、彼を休憩室から追い出した。
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 怒らないで委員会会長mAKAさん» 私なんぞが剣さんなんて恐れ多いです……!位置的にはパラスコ星人くらいで充分ですよ。……前野さんに投げたら逆に喜ばれちゃうので、ダメージは与えられそうにないですね……。 (2016年3月18日 21時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - スマトラ島のラフレシアさん» レスありがとうございます!!いや、なんというか作者様って野崎くんにとっての宮前さんみたいな感じなんだなーとしみじみ思ってます。あ、タヌキ拾ってくれてありがとうございました。前野にでも投げときましょう。← (2016年3月18日 18時) (レス) id: bd598a3311 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - お久しぶりですー!!と、とりあえずタヌキは私がキャッチしておきました(使命感)。小田先生、気付いて頂けたようで嬉しいです!よかった!マイペースですが、よいものをお届けできるよう精進して参ります!! (2016年3月11日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - 新作…!!あ、もう目からタヌキが。内容も流石です!!前作のキャラ(小田先生)もからめてきてて最高です!!ゆっくり頑張ってください!! (2016年3月11日 1時) (レス) id: bd598a3311 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア - 浪越りいさん» 大変お待たせ致しました……!!すみません。ありがとうございます。私も大好きです。あんまり縛らずに自由且つのんびり進めますので、よろしくお願いしますー! (2016年1月24日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年1月23日 18時