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いくらかの談笑の後、店長は依頼の品を取りに一度奥へと戻っていく。
Aが夫婦と確認や世間話を続ける間、ゾムはショーケースの中や陳列されている菓子を見回していたが、何故かずっと自分に注がれ続ける視線。
しばらく待ってから顔を上げれば、先ほどの若い女性店員が怪訝そうな表情でこちらを見つめている。
「…何？」
「…A様のお仲間さんなんですよね。同僚とか部下の方ですか？」
「どうやろうな。気になるん？」
「当たり前じゃないですか！外交官室の方々は皆A様のことを慕ってらっしゃいましたが、他国の方もそうとは限りませんし」
「そこは心配ないで。ちゃんと慕われとる「ですよね！！だと思いました！」
「何なん自分…」
今度はゾムの方が怪訝そうな顔を浮かべる。
顎に手を当て少し考え込むような仕草でふうんと鼻を鳴らした。
「自分こそ随分A贔屓なんやな？」
「だってA様カッコいいじゃないですか！」
「それはわかる」
真顔で頷いたゾムに店員も頷き返す。
同意を得られたことでスイッチが入ったのか彼女の目は光っていた。
「うちの店が外交官室御用達になったのだって元はA様のおかげですしね！バリバリ働かれて国を良くしてくださって、同じ女としても憧れます！」
「なるほどな」
『ちょっと、そこまで』
流石に聞こえたのか、待ったをかけるA。
苦笑気味にこちらを見る母親には目もくれず、店員はキラキラとした目で声の主を見遣った。
「A様何でしょう！？あっ、何も喋ってませんよ！喋るようなこともないんですけど」
『…貴女のその物怖じしない所は良い所でもあるけど、彼も偉い立場の方だから程々にしてね。あと私の話はしなくていいから』
「わかりました！すみません…お詫びにラッピング盛ります！」
『いや、いいよ…もうしてくれてるから』
「うっ、じゃあ何か別のサービスを！いいよねお母さん、」
「そうね。我々のお方、A様、娘が大変失礼をいたしました。よろしければ何か一品ずつお付けさせていただきます」
柔らかい笑顔を浮かべる穏やかな母親に、今度はAの方が言葉を詰まらせる。
私用だからと遠慮しようとしたが、おっすまんなと選び始めたゾムを見て諦めたように口を閉ざした。
「俺これにするわ。Aは？」
そう言って彼がつまんだのは、袋詰めされたメレンゲクッキー。
Aは一瞬目を見開いたが、そういえばまともに食べていなかったと思い出すと、少しの間の後に微笑を浮かべて同じ物を指差した。
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りんご - 初めまして。勝手ながら、このお話を読ませて頂きました。丁寧な表現力や語彙力に惹き込まれました。続きを見たいという気持ちと、作者様の健康を優先して欲しいという気持ちでし葛藤しています笑。是非、続きを読めることをたのしみにしています (3月10日 16時) (
レス) id: bdd9411b02 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - (続きです)こんな素晴らしい物語を無料で読ませてもらっていいのでしょうか…！少し大袈裟かもしれませんが、この作品を世に生み出してくださり本当にありがとうございます！どうかお身体にはお気をつけて！この続きを読める日が来るとことずっと祈っています！ (12月16日 21時) (レス) id: 9352e86fcf (このIDを非表示/違反報告)
名無し - コメント失礼します。ほんの数時間前から読み始めたのですが、とてもとても面白くて時間も忘れて読み続けてしまいました…！二次創作ではなく、小説としか思えないようなクオリティと語彙にとても感銘を受けました…！感情移入しすぎてついつい泣きそうになりました、笑 (12月16日 21時) (レス) id: 9352e86fcf (このIDを非表示/違反報告)
名無し - (続き)ドキドキしてしまい、本当に自分が会話しているような気分になります！物語への没入感が高く、つい時間を忘れてしまいます！ 図々しいですが、是非また更新していただきたいです！何も知らないですが無理はなさらないように、少なくとも私は心待ちにしています！ (5月21日 12時) (レス) id: 3f74a2a022 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 初コメ失礼します！つい一昨日から読み始めたのですが、面白くてスイスイ読み進めてしまいました！主観的な感想ですが書き方がとても自分に合い、その場面場面を想像するのがとても楽しいです！キャラたちの会話もクオリティが高く、読んでいるだけなのに勝手に(続く) (5月21日 12時) (レス) @page13 id: 3f74a2a022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2018年11月28日 22時
