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表面上は穏やかな道中、しかし警戒を露わにするゾムやハラハラしっぱなしの様子のリズ国の者達を背後に気にしないようただ進むことに努める。
踏みしめる石畳は何度も歩いた道、今日は踵の低いヒールを鳴らし、段々と人がまばらになっていく奥地へと迷いなく進むと。
小鳥の囀りが聞こえそうなほど静かなその地の手前では、かつての部下が二人を待っているようだった。
「外務大臣殿、A外交官。よくいらっしゃいました」
「道中お疲れ様です」
「今日はプライベートだ、気にしなくていいよ。それにしてもこの国の主軸外交官が揃って出迎えとは、余裕があるのか警戒されているのかどちらだろうね？」
「お二人がいらっしゃるのに他の人間に任せる訳にはいかないでしょう。もちろん友好の意味でですよ」
「…ずいぶんとA秘書官に似たね、君は」
目を細めて大臣が呟く先には相変わらず冷静に会釈を返す補佐官。
第二外交官は一瞬顔を強張らせたが、何とも言えない顔で見つめるAに声をかける。
「ご無沙汰しております。…お手紙では存じておりましたが、ご無事で本当に良かったです…！」
『心配かけてごめんね。第二外交官も相当苦労したでしょう。ありがとう』
「いえ！本当はもっとお力になりたかったのですが、すみません…。あ、私達は先にご挨拶だけ済ませました。お二人もよろしければ」
穏やかに微笑む第二外交官の申し出に、既に人払いは済ませてあることを悟る。
片耳で聞いていたのか、そうだねと歩み寄る外務大臣は思い出したかのように背後へ顔を向けた。
「君たちはここで待っていなさい」
「えっ！で、ですが！」
「入口さえ見張ってくれていれば墓地の中は安全だ。二人も証明しているし、まあそれでも何かあればすぐに国際問題にでもするさ。ああ、当然そちらの番犬くんもね」
「…は？何でお前の言うこと聞かなあかんねん。俺はAの護衛やぞ」
険しい表情でゾムが問うが、Aが止める前に大臣の目がまた細くなる。
そして少しばかり冷えた口調で続きを紡いだ。
「護衛を名乗るのなら危険かどうかの判断はつくだろう。私を信用しないのは構わないが、大人しく彼女の心情くらい読んでやってくれ」
「どういうことや」
「ここから先は君の知らない領域だ。かつてアステールの多くの兵と民から支持を集めた、彼ら彼女らの元上司が眠る場所だ。だが君がいると彼女は秘書官であることを強いられる。…わかるかい？本音での近況報告すらままならないんだよ」
久々の再会を邪魔する程無粋ではないだろう？
笑わずに問う彼にゾムは返す言葉を失った。
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華凛(プロフ) - 1番最初から読んできましたが、このパートの78話目のgrさんのセリフに思わず胸がきゅんとしました。お体に気をつけて更新してください。楽しみにしてます。 (2019年7月4日 13時) (
レス) id: 1c6f67374d (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - マロウブルーさん» コメントありがとうございます。長いお話ですが気に入っていただけて嬉しいです！まだまだ続きますが、よければ今後もお付き合いいただければ幸いです！ (2018年11月18日 16時) (レス) id: bb8b65fc2e (このIDを非表示/違反報告)
マロウブルー - あぁ…何で綺麗で壮大で素晴らしい話なんでしょうか…あなたが神か…そうか…！いやもう、ずっと憧れです！追い付きたいと思うことすらおこがまし(殴)本当にこの話大好きです！影ながら応援しております…！ (2018年11月17日 23時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - この話が面白いのでシャオロンのファン辞めますさん» コメントありがとうございます。生きがいとまで言っていただけて恐縮です…！更新遅くて申し訳ないですが、今後とも楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年9月15日 20時) (レス) id: bb8b65fc2e (このIDを非表示/違反報告)
この話が面白いのでシャオロンのファン辞めます - 毎回楽しく読ませてもらっております。ぎすメモとともに私の生きがいです。無理せず毎秒投稿してください！(ネタです。すみません。健康に気をつけてください！更新待ってます！) (2018年9月15日 20時) (レス) id: 8c4421707f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年12月1日 22時
