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どんどんと流れていく時間の中、光るモニターの画面を見つめ続ける男が一人。
机に乱雑に置かれた書類の山、その脇に置かれたカップから立ち昇るのは、彼にしては珍しいエスプレッソの香り。
その横に置かれた皿に残るのはパン屑で、食事が好きな彼が珍しくこの部屋にこもって腹を満たした証だった。
軽いノック音、返事の前にすぐにその扉が開かれ、マグカップを持った男が入室してきた。
自分に見向きもせずに手元とモニターを往復する首に、来客はわざと軽めの声を上げる。
「いつからやっとんの？ロボロ」
「昨日の会議の後から」
「頑張るなぁ。寝てへんやろ」
「そんな余裕ないわ。むしろこんな時に熟睡できる奴の神経が知れない」
いつも温厚で穏やかで苦笑を浮かべる彼の、少し珍しくそっけない、だが棘のある言葉。
その裏にある感情を読み取った男は小さくため息を吐いた。
「だからって、詰めすぎてどうにかなる話でもないやろ。何をそんな焦っとるん」
「っ！焦るに決まってるやろ！！むしろ何で大先生はそんなに冷静なん！？」
大きな声で振り返るロボロを鬱は無表情のまま、ただ静かに見つめ返す。
それが癇に障ったのか、ロボロは尚も声を荒げた。
「こうしてる間にAに何かあったらどうするん！？怖い目にあっとるかもしれん、命の危険に晒されとるかもしれんのに！」
「そうやな。で？それはお前のせいなん？」
「…俺が火事にばっか気取られてへんかったら！もっと全体を見てたら！Aが攫われることはなかった！コネシマのせいじゃない！城内に居て、あっちこっち見れるこの位置に居た、俺の！俺の、責任や…」
どんどんと尻つぼみになって消えていく声。
最後には項垂れてしまったロボロも、コネシマ同様責任を感じていた一人だった。
一通りそれを見届けると、鬱は暗く静かな室内にカップを置く音を響かせる。
「別に誰の責任とかやないって。…あの子、自分から行ったんちゃうかな」
「はあ…？」
「グルちゃんを狙ってきて気絶させられる程強い奴が、標的放置してわざわざAちゃんを攫う理由って何かある？乱暴な奴ならインカムもGPSのスイッチも丁寧に机に置いてったりせんやろ」
「…それは…」
「あくまで僕の推測やけど、…っておい、ロボロ、これ、」
鬱が目を見開いて手にしたのは一枚の資料。
釣られてそちらを向いたロボロも、偶然にも一時停止した画面を見て大きく声を上げた。
その頃、別の土地では新たな役者が舞台に上がる。
「それで、内密のお話とはなんでしょう？」
感情の読めない声で、彼は目の前の人間に笑いかけた。
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華凛(プロフ) - 1番最初から読んできましたが、このパートの78話目のgrさんのセリフに思わず胸がきゅんとしました。お体に気をつけて更新してください。楽しみにしてます。 (2019年7月4日 13時) (
レス) id: 1c6f67374d (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - マロウブルーさん» コメントありがとうございます。長いお話ですが気に入っていただけて嬉しいです！まだまだ続きますが、よければ今後もお付き合いいただければ幸いです！ (2018年11月18日 16時) (レス) id: bb8b65fc2e (このIDを非表示/違反報告)
マロウブルー - あぁ…何で綺麗で壮大で素晴らしい話なんでしょうか…あなたが神か…そうか…！いやもう、ずっと憧れです！追い付きたいと思うことすらおこがまし(殴)本当にこの話大好きです！影ながら応援しております…！ (2018年11月17日 23時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - この話が面白いのでシャオロンのファン辞めますさん» コメントありがとうございます。生きがいとまで言っていただけて恐縮です…！更新遅くて申し訳ないですが、今後とも楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年9月15日 20時) (レス) id: bb8b65fc2e (このIDを非表示/違反報告)
この話が面白いのでシャオロンのファン辞めます - 毎回楽しく読ませてもらっております。ぎすメモとともに私の生きがいです。無理せず毎秒投稿してください！(ネタです。すみません。健康に気をつけてください！更新待ってます！) (2018年9月15日 20時) (レス) id: 8c4421707f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年12月1日 22時
